「夢のマイホーム、せっかくなら庭も欲しい!」多くの人が抱くこの願い。
しかし、理想と現実の間で「庭5坪はどのくらい?」という具体的な広さの疑問に直面する方は少なくありません。
実際に庭が欲しいと思っても、予算や立地を考えると土地の広さには限りがあります。特に土地30坪で庭を計画する場合、確保できるスペースは計算上、かなり限定的になります。
この記事では、庭5坪がどのくらいの広さなのか、具体的なイメージを掴むための広さの目安を多角的に解説します。
さらに、7坪の庭や10坪はどのくらいか、15坪庭広さとの比較を通じて、それぞれの空間で実現可能なアクティビティを明らかにします。
人気の庭でのバーベキューは何坪から可能なのか、一般的な4人家族の土地の広さはどう考えれば良いのか、後悔しない家づくりのために、土地探しから始まる庭づくりの全知識を、分かりやすく丁寧にご紹介します。
この記事でわかること
- 5坪・7坪・10坪の庭の広さの具体的なイメージ
- 庭の広さに応じたバーベキューなどの活用方法
- 家族構成に合った土地選びのポイント
- 後悔しないための庭づくりの注意点
庭5坪はどのくらい?広さの感覚と活用法
- 7坪はどのくらいか比較してみよう
- 10坪はどのくらいの広さか例えで解説
- 15坪はどのくらいスペースが取れる?
- 庭でバーベキューは何坪からできる?
- 理想的な戸建広さ目安も知っておこう
7坪はどのくらいか比較してみよう
庭の広さを考えるとき、まず基準となる5坪の具体的なスケール感を掴むことが重要です。
5坪の広さは約16.5平方メートル。
これは不動産広告でよく使われる畳に換算するとおよそ10畳分にあたります。
一般的な子ども部屋や寝室が6畳~8畳であることを考えると、一部屋分より少し広いスペースをイメージすると分かりやすいでしょう。
この5坪のスペースでできることは、プランターをいくつか並べたガーデニング、季節の草花を育てるコンパクトな花壇、あるいは自転車やDIY用品を収納する小型の物置を設置することなどが挙げられます。
しかし、テーブルと椅子を置いてくつろぐには、少々手狭に感じるかもしれません。
では、これを基準に7坪の広さを考えてみましょう。
坪は約23.1平方メートルとなり、畳で言えば約14畳分の広さを確保できます。
5坪に比べて4畳分もスペースが広がるため、空間のゆとりにははっきりとした違いが生まれます。
5坪では窮屈に感じたかもしれないガーデンテーブルとチェアのセットも、7坪あればゆったりと配置し、人が周りをスムーズに通り抜けられる動線を確保できます。
例えば、ハーブを育てるガーデニングスペースと、家族が朝食を楽しむ小さなテラス空間を両立させることも、十分に現実的な目標となります。
このように、わずか2坪の違いが、庭でできることの幅を大きく広げてくれます。
5坪では「見る・育てる」という一つの目的に絞られがちですが、7坪あれば「くつろぐ」という要素を加え、複数の用途を組み合わせた豊かな庭づくりを検討できるでしょう。
広さの比較まとめ
5坪(約16.5㎡):約10畳。ガーデニングやコンパクトな物置スペース向き。用途を一つに絞ることで空間を有効活用できる。
7坪(約23.1㎡):約14畳。ガーデニングに加え、テーブルセットを置く余裕も生まれる。複数の目的を組み合わせることが可能になる。
10坪はどのくらいの広さか例えで解説
10坪の広さは約33平方メートル。
このスケールになると、庭はより多機能でダイナミックな空間へと進化します。
身近なもので例えるなら、国土交通省の指針による一般的な乗用車の駐車スペース(幅2.5m×長さ6.0m=15㎡)2台分よりも少し広い空間です(参照:駐車場設計・施工指針について)。
6畳の部屋が2つすっぽりと収まり、さらに余裕がある広さを想像していただくと、そのポテンシャルがご理解いただけるでしょう。
これだけのスペースがあれば、庭の活用方法は格段に広がります。
家族や友人を招いてのびのびとバーベキューを楽しむのはもちろん、夏場には直径3m程度の大型ビニールプールを広げて水遊びをすることも十分に可能です。
ガーデニングの観点から見ても、季節の野菜を育てる本格的な花壇、果樹も楽しめる家庭菜園、そして家の象徴となるシンボルツリーといった複数の要素を、圧迫感なくバランス良く配置できます。
また、10坪は子どもが安全に走り回れる広さの一つの目安でもあります。
柔らかい芝生を敷けば、転んでも安心な最高のプレイゾーンになるでしょう。
単なる「家の外のスペース」ではなく、暮らしを豊かにする「第二のリビング(アウトドアリビング)」として積極的に活用できる広さ、それが10坪の持つ大きな魅力です。
15坪はどのくらいスペースが取れる?
15坪(約49.5平方メートル)は、畳に換算すると約30畳もの広大なスペースです。
ここまでくると、庭の設計にはプロの造園家のような発想とかなりの自由度が生まれます。
15坪の庭が持つ最大の特徴は、複数の目的を持った空間を明確に分ける「ゾーニング」が容易になることです。
例えば、リビングから直接出入りできるウッドデッキを「くつろぎのゾーン」、子どもやペットが走り回れる芝生エリアを「遊びのゾーン」、そして日当たりの良い一角を「菜園ゾーン」というように、テーマごとに空間をデザインできます。
これにより、庭全体にメリハリが生まれ、それぞれの場所で快適に過ごすことが可能になります。
ゾーンのテーマ | 具体的な内容・設備 | 必要な広さの目安 |
---|---|---|
リビングゾーン | ウッドデッキやタイルテラスを設置。ソファや大きめのテーブルを置き、屋外リビングとして活用。パーゴラ(つる棚)を設置して日陰を作るのも良い。 | 5~7坪 |
プレイゾーン | 手入れのしやすい高麗芝などを敷き詰め、子どもの遊び場や簡易的なドッグランとして使用。砂場やブランコなどの遊具を置くスペースも確保可能。 | 5~8坪 |
菜園・ガーデニングゾーン | 季節の野菜やハーブを育てる家庭菜園スペース。レンガで囲ったレイズドベッド(立ち上げ花壇)にすると作業がしやすく、デザイン性も高まる。 | 2~3坪 |
このように、15坪の広さがあれば、「くつろぐ」「遊ぶ」「育てる」といった多様なニーズを一つの庭で実現できます。
それぞれの空間をレンガや枕木の小道(ガーデンパス)でつなぐなど、デザイン性を高める工夫も楽しめます。
ただし、忘れてはならないのが維持管理の問題です。
広い分、芝刈り、雑草対策、落ち葉の掃除、害虫駆除、そして固定資産税への影響も大きくなります。
美しい庭を維持するための労力とコストを計画段階でしっかりと見積もっておくことが、後悔しないための重要なポイントです。
庭でバーベキューは何坪からできる?
庭でやりたいことの代表格として、常に上位にランクインするのがバーベキューです。
家族や友人と集い、青空の下で食事を楽しむ時間は格別です。では、このバーベキューを実現するためには、最低でどのくらいの広さが必要なのでしょうか。
結論から言うと、安全かつ快適に楽しむためには最低でも3坪(約10平方メートル)程度が一つの目安となります。
これは、単に道具が置けるというだけでなく、人が安全に移動し、調理や食事を行えるスペースを考慮した現実的な広さです。
バーベキューに必要なスペースの内訳(4人家族の場合)
- バーベキューコンロ設置スペース:約1㎡(コンロ本体+火の粉が飛んでも安全な周囲の空間)
- テーブルと椅子のスペース:約4㎡(4人掛けテーブル+椅子を引くスペース)
- 人の動線・作業スペース:約5㎡(食材の準備、調理、安全な移動経路の確保)
もちろん、これは最低限の広さです。
5坪あれば、食材を置くサイドテーブルを設置したり、クーラーボックスを置く場所を確保したりと、より快適性が増します。
リビングの掃き出し窓を開放して室内と一体的に使うことで、実際の面積以上に空間を広く活用するテクニックも有効です。
住宅密集地でのバーベキューには最大限の配慮を
庭でのバーベキューは楽しいものですが、一歩間違えれば近隣トラブルの火種になりかねません。
特に住宅が密集しているエリアでは、以下の点に最大限の配慮が必要です。
- 煙と臭い:風向きを確認し、隣家の洗濯物がないかなどを確認する。煙の少ないコンロや無煙ロースターを選ぶのも一つの方法です。
- 騒音:話し声や音楽のボリュームは控えめに。特に夜遅くまでの利用は避けるのがマナーです。
- 事前のコミュニケーション:可能であれば、事前にご近所へ「週末に庭でバーベキューをしますので、ご迷惑をおかけするかもしれません」と一声かけておくだけで、心象は大きく変わります。
自治体によっては、住宅地でのバーベキューに関するルールや条例を設けている場合もありますので、お住まいの地域のウェブサイトなどで一度確認しておくと安心です。
理想的な戸建広さ目安も知っておこう
魅力的な庭を計画する上で、建物本体の大きさと、それらを配置する敷地全体とのバランス感覚は非常に重要です。
庭だけに理想を詰め込んでも、家が窮屈になったり、駐車場が確保できなかったりしては本末転倒です。
敷地全体を一つのキャンバスとして捉える視点が欠かせません。
このバランスを考える上で非常に参考になるのが、国土交通省が公表している「住生活基本計画」における誘導居住面積水準です。
これは、国民の住生活の安定・向上を図るために、世帯人数に応じて、豊かで快適な住生活を実現するために必要と考えられる住宅の面積の目安を示したものです。
この計画によると、都市部以外の一般地域における戸建て住宅の場合、4人家族(夫婦+子ども2人)の目安は125平方メートル(約37.8坪)とされています。
これはあくまで建物自体の広さ(延床面積)の目安であり、庭や駐車場は含まれていません。
この建物の広さに加え、日常生活に必須の駐車場(1~2台分で約4~8坪)、そして自分たちが理想とする庭の広さを足したものが、必要となる土地全体の広さのおおよその目安となります。
例えば、誘導居住面積水準に沿った38坪の家と、8坪の駐車場、そして家族で楽しめる10坪の庭が欲しいと考えるなら、合計で56坪程度の土地が必要、という計算になります。
まずは、自分たちの家族構成やライフスタイルに合った建物の広さを把握し、そこから逆算して庭に割けるスペースと必要な土地の広さを考えることが、現実的で満足度の高い家づくりへの第一歩となるのです。
庭5坪はどのくらい?理想の家づくりの視点
- まずは庭が欲しいなら土地探しから
- 土地30坪で庭は確保できるのか
- 4人家族の土地の広さはどれくらい?
- 庭5坪どのくらいが良いかは自分で決める
まずは庭が欲しいなら土地探しから
理想の庭を実現するためのプロセスは、家の間取りを考えるずっと前、どのような土地を選ぶかという段階から始まっています。
なぜなら、土地にかけられた法的な制限が、建てられる家の大きさと配置を決定し、その結果として確保できる庭の広さと形状を左右するからです。
特に重要なのが、都市計画法によって定められた「建ぺい率」と「容積率」という2つのルールです。
これらは、街の景観や日当たり、風通しなどを守るために設けられています。
建ぺい率と容積率の基本
- 建ぺい率:敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合。この数値が低いほど、庭や通路など、家が建っていないオープンスペースが広くなります。例えば、50坪の土地で建ぺい率が50%なら、建築面積は最大25坪。残りの25坪が庭や駐車場などに使えるスペースの候補となります。
- 容積率:敷地面積に対する延床面積(建物の各階の床面積の合計)の割合。この数値が、2階建てや3階建てといった建物の全体のボリューム(大きさ)を決めます。
「庭が欲しい」という漠然とした希望を、設計の初期段階で建築会社や設計士に「〇坪くらいの庭で、〇〇がしたい」と具体的に伝えることが非常に重要です。
プロはこれらの法規制を熟知しているため、その土地のポテンシャルを最大限に引き出し、庭のスペースを確保できるような建物の配置や設計プランを提案してくれます。
さらに、土地の形状(整形地か、旗竿地などの不整形地か)や方角(日当たりの良さ)、隣家との位置関係も庭の使い勝手や快適性を大きく左右します。
土地探しの段階から、庭づくりの視点を持って候補地を見ることが、理想への近道なのです。
土地30坪で庭は確保できるのか
「30坪の土地」は、特に地価の高い都市部においては、現実的な広さの選択肢の一つです。
では、この限られた敷地で、満足のいく庭を確保することは本当に可能なのでしょうか。
結論から言えば、「条件次第で可能ですが、賢い設計と優先順位付けが不可欠」となります。
具体的なシミュレーションを通して、その現実を見てみましょう。
【シミュレーション】土地30坪で庭を計画する
【設定条件】
・土地面積:30坪(約99㎡)
・用途地域:第一種低層住居専用地域
・建ぺい率:60%
・容積率:200%
- 敷地に建てられる建築面積の上限:
30坪 × 建ぺい率60% = 18坪(約59.4㎡)
※これは1階部分の最大面積となります。 - 家以外のオープンスペース:
30坪 - 建築面積18坪 = 12坪(約39.6㎡)
この残された12坪のスペースを、庭、駐車場、玄関アプローチ、エコキュートなどの設備設置スペースで分け合うことになります。
もし、普通車1台分の駐車場(約4坪)を確保すると、庭やアプローチに使えるのは最大で約8坪となります。
このシミュレーションから分かるように、30坪の土地でも10坪近い庭を確保することは数字の上では不可能ではありません。
しかし、もし車を2台所有している場合や、1階に広いリビングを求めて建築面積を上限いっぱいに使いたい場合には、庭のスペースはさらに小さく(3~5坪程度に)なります。
その場合は、発想の転換が必要です。プライバシーを確保しやすい中庭(コートハウス)を設ける、2階に広いインナーバルコニーや屋上を作り「空中の庭」として活用するなど、平面的な広さだけでなく立体的な空間利用を考えることで、都市部の限られた土地でも緑と触れ合う豊かな暮らしを実現する道筋が見えてきます。
4人家族の土地の広さはどれくらい?
「4人家族が快適に暮らすためには、一体どのくらいの土地の広さが必要なのか?」これは家づくりを考える多くの家庭が直面する、非常に悩ましい問題です。この問いに対して、唯一の正解というものは存在しません。
なぜなら、必要となる土地の広さは、お住まいのエリアの土地価格(地価)、車社会か公共交通機関が中心かといったライフスタイル、そして何を大切にするかという家族の価値観によって大きく変動するからです。
ただ、一つの客観的な目安として考えることは可能です。
前述の通り、国土交通省が示す4人家族の誘導居住面積水準(建物)は約38坪です。
これに、現代の生活に欠かせない駐車場2台分(約8坪)と、家族の憩いの場となるある程度の広さの庭(例えば10坪)を確保したいと仮定してみましょう。
建物 (約38坪) + 駐車場 (約8坪) + 庭 (約10坪) = 56坪
この単純計算からは、50坪~60坪程度の土地があれば、4人家族がゆとりを持って暮らせる家と庭を実現しやすいという一つの理想像が浮かび上がります。
しかし、これはあくまで郊外などを想定した理想的なケースです。
国土交通省の不動産取引価格情報を見ても分かる通り、都市部では土地の価格が非常に高いため、30坪~40坪の土地で工夫して家を建てるのが一般的です。
最も大切なのは、広さの数字に振り回されるのではなく、家族が新しい家と庭で「どんな暮らしをしたいのか」を具体的に話し合い、優先順位を決めることです。
「子どもが小さいうちだけ、走り回れる広い芝生が最優先」「夫婦で楽しめる家庭菜園が少しあれば十分」「庭の手入れは苦手なので、ウッドデッキでくつろぐ空間を重視したい」など、家族の想いを形にする中で、おのずと必要な土地の広さが見えてくるはずです。
庭5坪はどのくらい?ちょうど良い広さは自分で決める
これまで様々な広さの目安や具体的な事例を見てきましたが、最終的に「庭5坪が自分たちにとって十分か、それとも狭いか」という問いに対する唯一の答えは、ご自身のライフスタイルと、家族が何を大切にするかという価値観の中にしかありません。
5坪の庭でも、設計とアイデア次第で、美しい花々が咲き誇るガーデニングスペースや、休日の朝にコーヒーを楽しむプライベートなカフェスペースとして、十分に生活を豊かにしてくれます。
むしろ、管理の手間が少なく、常に美しい状態を保ちやすいという点は、忙しい現代のライフスタイルにおいて大きなメリットと言えるでしょう。
「タイニーガーデン(小さな庭)」という言葉があるように、限られた空間だからこそ、隅々まで愛情を注ぎ、密度の濃いお気に入りの空間を創り上げる楽しみがあります。
広い庭は誰もが憧れますが、その裏側には、夏の日の大変な草むしり、定期的な芝刈り、植木の剪定、落ち葉の掃除といった、継続的な維持管理の負担が必ずついて回るという現実も忘れてはなりません。
庭づくりで後悔しないために最も大切なのは、坪数という数字に惑わされるのではなく、「その庭で、誰が、何をしたいのか」という原点を、家族全員で具体的にイメージすることです。
そして、家づくり全体の予算や土地の条件、日々のメンテナンスにかけられる時間と労力を総合的に考慮し、家族にとっての「ジャストサイズ(ちょうどいい広さ)」を見つけ出すことが、何よりも満足度の高い家づくりにつながるのです。
後悔しない庭づくりのための最終チェックリスト
- 庭に求めること(目的)を優先順位をつけてリストアップする
- 庭の手入れは誰が、どのくらいの頻度で行うか具体的にシミュレーションする
- 建物や駐車場、そして近隣との関係性を含めた全体のバランスを考慮する
- 将来のライフスタイルの変化(子どもの成長、車の台数の変化など)も視野に入れる
- モデルハウスや完成見学会で、実際の庭の広さを体感してみる
- 家族全員で、理想の庭について何度も話し合う時間を持つ
これらのプロセスを丁寧に進めることで、数字だけでは測れない、家族の笑顔が溢れる最高の庭がきっと見つかるはずです。