こんにちは。
お庭マエストロ、運営者の「なおと」です。
おいしい「マルベリー」の実を収穫したり、健康に良いとされる「桑茶」を楽しんだりするために、桑の木をご自宅で育ててみたいと考える方は少なくありません。
しかし、インターネットで調べてみると「桑の木を庭に植えてはいけない」という非常に強い警告を目にすることが多いですよね。
実際に植えてから後悔しないために、どのようなリスクがあるのか、またすでに大きくなってしまった場合の駆除方法、そして安全に栽培して楽しむための鉢植え栽培のコツを詳しく知っておくことが大切です。
なお、限られたスペースで植物を楽しむ考え方については、狭い・小さい庭でバラを咲かせる方法でも詳しく解説しています。
そこで今回は、物理的な実害から風水的な背景、そしてトラブルを避けて安全に楽しむ方法まで、分かりやすくお伝えしますね。
ポイント
- 桑の木が住宅の基礎や配管を物理的に破壊するリスクについて
- 落果が引き起こす美観の汚損や害虫、鳥害などの衛生上の実害
- 風水や民俗学的な背景から桑の木が忌避されてきた歴史的理由
- 庭に植えてしまった桑の木の確実な駆除方法と安全に栽培する鉢植えのテクニック
桑の木を庭に植えてはいけない物理的リスクと風水の背景
桑の木を一般家庭の庭に直接植えることには、一時の楽しみをはるかに上回る重大なリスクが隠されています。
特に住宅地では、建物や生活インフラへの物理的な被害が懸念されるほか、古くから伝わる風水や民俗学的な観点からも強い忌避感があるのです。
ここでは、物理的な実害と文化的な背景の2つの側面から、なぜ庭植えを避けるべきなのか詳しく解説していきますね。
凄まじい生長速度と隣家への枝葉侵入リスク
桑の木は非常に生命力が強く、生長スピードが驚くほど早いのが大きな特徴です。
特別な手入れをせずに放置してしまうと、わずか数年で樹高が「5メートル以上」に達してしまい、最終的には10メートルを超えるような大木になってしまいます。
これほど巨大化すると、自宅の敷地内だけにとどまらず、境界線を越えて隣家の敷地へ枝葉が侵入する直接的な原因になります。
剪定を少しでも怠ると枝が暴れてしまい、素人では手入れを不可能な状態へと急速に移行してしまうため、近隣トラブルを招くリスクが非常に高いです。
さらに、庭全体の日当たりを奪ってしまうため、周りに植えてある他の庭木や芝生を枯死させてしまう要因にもなりかねません。
基礎や配管を破壊する強靭な根の特性
桑の木の恐ろしさは地上部だけではありません。
地中深く、そして広範囲に広がる根の強靭さも無視できない重大な問題です。
桑の木は、まるで人間の歯のように太く強固な根が垂直方向および水平方向に深く発達するという、きわめてタフな根系特性を持っています。
注意ポイント
配管や基礎の損壊リスク
地植えされた桑の根は、地中で水道管やガス管などの埋設配管を物理的に圧迫して破損させたり、住宅のコンクリート基礎やブロック塀の隙間に侵入して押し広げ、破壊したりする恐れがあります。
一度地中に深く張り巡らされた太い根を除去するには、多大な時間と費用がかかるだけでなく、重機を導入するような大がかりな土木工事が必要になってしまいます。
そのため、建物の近くへの地植えは絶対に避けるべきですね。
落果による美観汚損と害虫や鳥害の大量誘引
初夏になると、桑の木にはたくさんの「マルベリー(果実)」が実ります。
これが楽しみで植える方も多いのですが、庭植えの場合はこれが深刻なデメリットに変わります。
成熟した果実は非常に多汁で、風が吹いたり鳥がつついたりするだけで簡単に地面に落ちてしまいます。
この果実は濃い黒紫色で、極めて強い色素を含んでいるため、アプローチのアスファルトやインターロッキング、さらには近くに駐車している車のボディや建物の外壁に付着すると、簡単に染色してしまい、美観を著しく損ねてしまいます。
また、糖分の高い落果が放置されると、アリやハエといった衛生害虫の温床になりやすいです。
さらに、これを目当てにたくさんの野鳥が集まり、その色素をたっぷり含んだ糞尿を周囲にまき散らすため、近隣一帯に大きな鳥害を及ぼす原因にもなってしまいます。
アメリカシロヒトリなど特有の病害虫被害
桑の木は葉が豊かに生い茂りやすいため、枝葉が密集すると風通しが急激に悪化します。
これが、多くの害虫や病気を引き起こす原因になります。
特に警戒しなければならないのが、葉全体を食い尽くしてスカスカにしてしまう毛虫の「アメリカシロヒトリ」です。
大量発生しやすく、放置すると周囲の他の庭木にも一瞬で被害が広がります。
もし発生してしまった場合は、幼虫が作る白い糸状の巣ごと葉をハサミで切り取り、ゴミ袋に密閉して処分するか、焼却処分する必要があります。
自治体でも、アメリカシロヒトリはクワなどの落葉樹に産卵し、巣網を見つけた段階で枝葉ごと切り取る早期駆除が基本と案内されています(出典:登米市「アメリカシロヒトリの駆除について」)。
食害対策としては、幼虫の脱皮を阻害して成長を防ぐ「アプロード水和剤(IGR剤)」などの薬剤散布が非常に有効ですね。
桑の木が特にかかりやすい主な病気
- 萎縮病(ファイトプラズマ病):媒介昆虫であるヒシモンヨコバイなどによって感染し、葉が縮んで樹勢が衰える病気です。
- 実菌核病(クワ菌核病):キツネノワンタケ属の胞子が原因で、結実した実が白く干からびて全滅してしまう病気です。
これらの病原菌や媒介昆虫は、一度地植えの樹木や周辺土壌に定着すると、翌年以降も再発を繰り返すため、完全な治療や駆除が極めて困難になるのが特徴です。
中国の同音忌避に由来する不吉な風水説
風水や伝統的な俗信の面からも、桑の木は庭に植えてはいけないと強く語り継がれてきました。
これには主に、中国の言語的な連想が関係しています。
中国の伝統的な俗信や風水では、言葉の響きが同じである「諧音(かいおん)」による忌避が非常に強く意識されます。
中国語において、桑を意味する「桑(sāng)」の字の発音は、お葬式や喪中、死を連想させる「喪(sāng)」と全く同じ発音です。
このことから、敷地内に桑を植えることは古来より極めて不吉とされてきました。
中国には「前不栽桑、後不栽柳(家の前に桑を植えず、後ろに柳を植えず)」という有名な諺があり、特に住宅の前面に植樹することは「門前に喪事が控える」ことを暗示し、一家を貧窮に追い込んで衰退させる最凶の行為だと信じられていたのです。
ちなみに、日本でも「桑」と「喪」は音読みで同じ「ソウ」ですが、日常の日本語会話でこれらを直接結びつけて連想することは少ないため、この不吉な連想自体がそのまま日本の一般生活に直結したわけではないと考えられます。
強い陰気による健康運や経済運への悪影響
中国の同音忌避だけでなく、伝統的な風水における「陰陽(いんよう)」の観点からも、桑の木は敬遠されてきました。
桑の木は、非常に強い「陰の気」を持つ樹木、いわゆる「陰木(いんぼく)」に分類されます。
敷地内に長く存在していると、その強い陰の気が家の中にまで侵入し、居住者のエネルギーである「陽の気」を消し去ってしまうと言われているのです。
これが居住者の身体機能を低下させ、病気を呼び込む原因になると考えられていました。
また、桑の木は風が吹くと葉がすれ合い、パチパチという拍手をしているような音を立てることから、古くから「鬼拍手(きはくしゅ)」とも呼ばれていました。
夜間に不気味な音が聞こえることで不眠を招き、病気の発症につながると信じられていたのです。
さらに現代の風水でも、太い根が地中で地盤を圧迫する物理的な性質が「大地の気の流れ(地脈)を滞らせて、運気を押し返してしまう」と解釈され、特に北側や玄関前に植えることは避けるべきとされています。
冬にすべての葉を落として裸木になる落葉樹である点も、冬場の陰の気をさらに強める要因とされていますね。
日本の養蚕信仰から現代の忌避言説への変遷
このように不吉とされる風水説がある一方で、かつての日本における民俗的な受け止め方には大きなギャップがありました。
農業が主要産業であった時代の日本では、カイコを飼育して美しい絹を生産する「養蚕業(ようさんぎょう)」が非常に重要な副業であり、農家の貴重な収入源でした。
そのため、カイコの唯一の餌である桑の木は、生活になくてはならない極めて大切な存在だったのです。
当時は、屋敷のすぐ近くに桑を植えることはごく当たり前であり、むしろ「家業繁栄」や「子孫繁栄」の象徴として大切にされていました。
一部の地域では、「桑(くわ)=富を食わ(くわ)える」という非常にポジティブな語呂合わせから、金運上昇を招く「吉祥の木」として喜ばれていたほどです。
参考
現代におけるイメージの変化
近代以降に養蚕業が急速に衰退し、都市化によって限られた土地に住宅が密集するようになると、先ほど紹介した「強靭な根によるコンクリートや配管の破壊」「巨大化」「落果の染色汚れや害虫」という物理的なデメリットが強く意識されるようになりました。これらが、古来から伝わる中国の風水思想と組み合わさった結果、現代における「庭に植えてはいけない木」という強力な言説として再構築されたと考えられています。
サザンカやビワなど他の庭木とのリスク比較
庭植えが忌避される植物は、桑の木だけではありません。
それぞれの物理的な害や、風水上の懸念を比較してみることで、庭木の適切な選定に役立てることができます。
植物ごとに「植える場所」と「管理できる範囲」を見極める視点は、バラを庭に植えてはいけない条件を考える時にも共通しています。
代表的な「庭に植えてはいけない植物」とその特徴をテーブルにまとめました。
| 植物名 | 忌避の主な理由(風水面・迷信) | 物理的・生態学的実害 |
|---|---|---|
| 桑(クワ) | 「喪」と同音で陰気が強く、家族の健康や財運を害する | 生長が極めて早く、強靭な根が建物基礎や配管を圧迫。落果の汚れや鳥害の誘引 |
| サザンカ(ツバキ科) | 花が丸ごと落ちる様子が首を落とされるようで縁起が悪いとされる | 毒針毛を持つ「チャドクガ」が非常に発生しやすく、触れると激しい痒みや腫れを引き起こす。チャドクガ対策の考え方は、同じツバキ科に関係するお茶の木を庭に植えてはいけない理由でも詳しく触れています |
| 鬼拍手(エンジュ等のマメ科高木) | 葉音が「鬼の拍手」に聞こえて不眠や病を招き、一家が衰退する | 「吊死鬼(首吊りの亡霊)」と呼ばれる尺取り虫が大量発生し、食害で美観を著しく損ねる |
| ビワ(琵琶・バラ科) | 陰の気が極めて強く、大きな葉が日を遮り「病人を呼び寄せる」とされる | 成長が早く大木になりやすいため、周囲の日当たりを大きく遮る |
| ポイズン・アイビー(ツタウルシ) | 不吉なエネルギーを放ち、特に北向きに植えると毒性を拡大させるとされる | 非常に強い有毒成分を含み、触れるだけで重い皮膚炎を引き起こす危険性が極めて高い |
| 彼岸花(ヒガンバナ) | 墓地に多く自生するため死を連想させ、「死人花」「地獄花」などの別名がある | 球根にアルカロイドなどの強い毒を含み、誤飲による食中毒の危険が高いため庭植えに不向き |
こうして見ると、風水や迷信として語り継がれているものの背景には、何かしら物理的・衛生的な実害が隠れていることがよく分かりますね。
桑の木を庭に植えてはいけない?リスクを防ぐ駆除と栽培法
庭に植えた桑の木が大きくなってしまい、何とかして処分したいと悩んでいる方もいるはずです。
しかし、桑の木は生命力と萌芽力(ほうがりょく:切り株から新しい芽を出す力)が非常に強いため、ただ根元から切り落としただけではすぐに新しい芽が出て再生してしまいます。
ここでは、桑の木を安全かつ確実に枯死させるための正しいアプローチと、リスクを完全に排除して果実を楽しむ鉢植え栽培法をご紹介します。
幹穿孔による除草剤注入と確実な密閉技術
まだ生きている太い立ち木を、周囲の植木や芝生を傷つけることなく安全に立ち枯れさせるための最も効果的なアプローチが「幹穿孔(かんせんこう)」というテクニックです。
具体的な手順は以下の通りです。
- 下穴の穿孔:地上からおよそ30cmほどの高さの幹に、電動ドリルなどを使って、幹の中心(髄)に向かって斜め下向きに穴をあけます。斜め下向きに掘ることで、後から入れる薬剤が外に漏れ出すのを防げます。穴の深さは「幹の直径の半分以内(例:直径10cmの木なら深さ5cm以内)」を目安にし、幹の外周に沿って7〜8cm程度の間隔をあけて数カ所にドリルを通します。
- 薬剤の直接注入:あけた穴の中に、グリホサート系除草剤(ラウンドアップ等)の原液、もしくは2倍に希釈した液を、スポイトやピピットなどで直接流し込みます。注入量は、1つの穴につき「約1ml」が適量です。
- 穴の密閉:注入が終わったら、雨水が入って薬液が薄まったり外へ流出したりするのを防ぐために、ガムテープやシリコンコーキング材などを使って穴の入り口を厳重に塞ぎます。
これを行うことで、数週間から数ヶ月をかけて内部からじっくりと確実に枯死させることができます。
伐採直後の切り株への原液塗布と雨水対策
すでに地上部分をチェーンソーなどで切り落としてしまい、残された切り株からの再生を完全にストップさせたい場合に有効なのが「原液塗布」の方法です。
最も重要なのは、切り口が新鮮なうちに処理を行うことです。
除草剤の成分は細胞の水分移動システムに乗って浸透していくため、伐採から何日も経過して乾燥した切り株では効果が激減します。
もし伐採してから時間が経っている場合は、塗布する直前に切り株の頭を少し低く切り直し、新鮮な水分を吸い上げている切断面を露出させましょう。
処理をする際は、切り口の最も外周部分、すなわち皮のすぐ内側にある最も養分を通しやすい「形成層(けいせいそう)」と呼ばれる部分に、ハケや筆を使ってグリホサート系やトリクロピル系の除草剤原液をたっぷりと、ペンキを塗るようにべったりと塗布します。
ラウンドアップの公式情報でも、樹高が高く直接散布できない場合は木を切り、その切り口に原液または2倍液を十分に塗布する方法が案内されています(出典:ラウンドアップマックスロード「よくあるご質問 使い方・枯らし方」)。
ポイント
雨対策は絶対に忘れずに!
塗布した直後に雨が降ってしまうと、せっかくの薬液が流れ落ちて効果がなくなるばかりか、周囲の植物や芝生に深刻な薬害を及ぼしてしまいます。そのため、塗布後はすぐにビニール袋などを切り株にかぶせ、紐やテープでしっかりと縛って防水養生を施してください。
ケイピンエースを用いた極所処理と本数調整
クズなどの雑木やつる類の枯死専用として開発された木針型除草剤の「ケイピンエース」を使用するのも、非常にシンプルで確実な手段です。
ケイピンエースを使用する場合、処理対象となる根株や茎の直径が「最低でも3.0cm以上」あることを必ず確認してください。
これより細い木に使用してしまうと、薬剤が塗られた約5cmの木針が木の中に収まりきらずに露出してしまい、雨水で流出したり、周囲の土壌に薬害を及ぼしたりする原因になってしまいます。
差し込み手順としては、根株やできるだけ地面に近い茎に対して、キリやドリルで斜め下に向けて下穴をあけます。
そして、その穴の中に、ケイピンエースを「薬剤が塗布された色のない木針部分」から「赤色に塗られた頭部」まで、完全に露出部が隠れるようにしっかりと奥まで差し込んでください。
使用する本数は、幹の太さに応じて次のように調整します(一般的な基準値の目安です)。
- 直径3.0cm以下:1〜2本
- 直径3.1〜5.0cm:3〜4本
- 直径5.1〜6.0cm:5〜6本
- 直径6.1cm以上:7本以上を外周に分散させて差し込む
差し込んだ後は、約2〜4週間で葉が黄色くなり始め、およそ3ヶ月をかけて根っこまで完全に枯死させることができます。
薬剤を使わない環状剥皮による物理的飢餓法
「ペットや小さな子どもが庭で遊ぶから、どうしても化学的な除草剤は使いたくない」「近くにある大切な植物への影響を完全に排除したい」という場合には、物理的な飢餓法である「環状剥皮(かんじょうはくひ)」、別名「巻き枯らし」が有効です。
この方法は、光合成によって葉で作られた栄養が根に送られるルートを物理的に遮断することで、木を徐々に飢えさせて枯死させる仕組みです。
まず、地上から少し上がった位置で、幹の周囲をぐるりと1周するように皮を剥ぎ取ります。
この際、剥ぎ取る縦の幅は「最低でも30cm以上」確保してください。
幅が狭いと、木が自ら傷口を修復して生存し続けてしまいます。
さらに、外皮を剥がすだけでなく、皮のすぐ内側にある粘り気のある層である「形成層」をバールやナイフなどを使って徹底的に削り落とすことが最も重要です。
この処理を行うと、根に栄養がいかなくなるため、数ヶ月から1年以上の時間をかけて、木はゆっくりと衰弱し最終的に立ち枯れていきます。
養分転流が起こる晩夏から初秋の駆除適期
除草剤を使用した注入法や切り株処理、ケイピンエースを施す場合、最も高い効果を発揮するシーズンは「晩夏から初秋(9月〜10月)」です。
これには植物の生理生態に裏付けられた科学的な根拠があります。
植物は、冬の休眠期に入る準備として、夏に光合成でたっぷり蓄えた養分を葉から地中の「根」へと送り届ける「養分転流(てんりゅう)」という働きを行います。
この時期は、水分や栄養が「上から下へ」と強く流れる(浸透移行する)ため、このタイミングで除草剤を施すと、薬剤成分がその流れに乗って効率よく、かつ徹底的に根の先端部まで引き込まれます。
その結果、一度の処理で驚くほどきれいに根こそぎ再生力を奪うことができるのです。
逆に、春先の新芽が伸びる「萌芽期」は、水分が下から上へと勢いよく押し上げられる時期です。
この時に薬剤を使っても、樹液によって外へ押し流されてしまい、根まで枯死させる効果が薄れやすいので気をつけてくださいね。
矮性品種シャルロットリュスの鉢植え管理法
桑の実の収穫や健康に良い青葉の利用を楽しみたいけれど、庭に植えるリスクはすべて排除したい。
そんな時の唯一無二の解決策が「鉢植え栽培」です。
鉢の中で管理すれば、強固な根が地中に広がって建物の基礎や配管を傷つける物理的な恐れはゼロになります。
また、こまめな剪定によって樹高やボリュームを思い通りに制限できるため、お隣へ枝がはみ出す心配もありません。
風水を気にする方でも、吉とされる場所に自由に移動させられるので心理的な安心感も高いですね。
そして、この鉢植え栽培で最高におすすめなのが、2017年のチェルシーフラワーショーで「プラント・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、画期的な矮性(わいせい)品種の「シャルロットリュス」(品種登録出願中:わい性霧島四季成り)です。
放っておいても樹高が1.0〜1.5メートル程度に収まるため非常にコンパクトで、春(3月)から秋(11月頃)まで長く実をつけ続ける「四季成り性」を持っています。
1本で結実するため、ベランダでも手軽に楽しめますよ。
桑の鉢植えにおける、詳細な年間スケジュールを以下にまとめました。
| 時期 | 主な作業内容 | 管理のポイント・注意点 |
|---|---|---|
| 1月〜2月 | 休眠期剪定・芯止め・寒肥 | 葉が落ちた落葉後のベストタイミング。不要な枝を剪定し、高さを抑える芯止めを施す。寒肥として油粕や鶏糞などの緩効性有機肥料を与える |
| 3月〜4月 | 芽吹き・植え替え | 根の活動開始直前、1〜2年に一度一回り大きな鉢に植え替えて根詰まりを防ぐ。緩効性化成肥料を少量施し、日当たりに置く |
| 5月〜6月 | 実の収穫・花後剪定 | 完熟して黒くなった実を収穫。収穫が終わった直後にお礼肥を施し、新梢を深く切り詰める。水分を極めて欲しがる時期なので給水を強化する |
| 7月〜8月 | 夏剪定・乾燥対策 | 高温と乾燥に注意。朝夕の涼しい時間帯に毎日2回の水やりを行う。枝葉をすっきりとさせて風通しをキープし害虫を予防する |
| 9月〜10月 | お礼肥・軽剪定 | 秋の緩効性化成肥料(お礼肥)を与える。葉の裏などを目視点検し、アメリカシロヒトリなどの害虫を徹底的に除去する |
| 11月〜12月 | 紅葉・水やり制限 | 黄色く美しい紅葉を鑑賞。落葉後は休眠に入るため水やりを大幅に控え、寒風や霜で根が凍結しないよう軒先などに保護する |
収穫量を最大化する二段階剪定と芯止めのコツ
鉢植えをコンパクトに保ちつつ毎年たくさんの実を収穫するためには、「花後剪定(6月〜7月)」と「冬期剪定・芯止め(12月〜2月)」の二段階剪定が極めて重要です。
桑の実はおよそ春に伸びた「新梢(しんしょう)」に結実するため、収穫が終わったらすぐに、実がついていた枝の付け根にある芽を2つほど残して深く切り詰めます。
これにより、夏にかけてそこから再び新しい強い枝が伸び、翌年の結果母枝になります。
7月を過ぎてからこの強い剪定を行うと、来年の花芽がつかなくなるので避けてくださいね。
冬の休眠期には混み合った余分な枝を根元からすっきり整理し、これ以上高さを大きくしたくない位置で主幹を剪定する「芯止め」を行って成長をコントロールします。
切り口には病原菌の侵入を防ぐために癒合剤(ゆごうざい)を塗って保護してあげてください。
剪定した健康な新梢(約15cm)は、一番新しい葉を2枚だけ残して他を取り除き、斜めにカットし直して1時間ほど水揚げをした後、清潔な培養土に挿すことで「挿し木」により増やすことも可能です。
鉢植えのトラブルシューティング
鉢植え栽培を成功させるには、地植えとは異なる水管理と環境整備が必要になります。
桑の木は日光が大好きなので、日照が不足すると葉が黄色くなって落ちたり、花が咲かずに実がならなくなったり、甘みが足りなくなったりします。
ベランダで育てる場合は定期的に鉢の向きを変え、全体に日光が均等に当たるようにしてあげましょう。
水やりは「土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり」が基本です。
常に土が湿っている状態(過湿)が続くと、根が窒息して「根腐れ」を起こして枯れてしまいます。
また、病気を防ぐために水は葉や枝にかけるのではなく、株元の土に直接注ぐようにしてください。
風通しを良くしておけば害虫も防ぎやすくなります。
白い糸を張るアメリカシロヒトリの巣を発見したら、ただちに葉ごと切り取って処分しましょう。
梅雨前にあらかじめ殺菌剤を散布しておくことも、果実が白くカビる実菌核病(クワ菌核病)の極めて有効な予防策になります。
桑の木を庭に植えてはいけない理由と対策のまとめ
これまで見てきたように、桑の木を庭に直接植えることには、建物の基礎や配管の損壊、急激な巨大化、果実の色素汚れや虫・鳥害、さらには風水上の「陰の気」といった多くの深刻なリスクが存在します。
そのため、一般のご家庭での安易な地植えはやはり避けるべきです。
すでに大きく生長してしまった桑の木を駆除する際は、植物が養分を根に蓄える「晩夏から初秋(9月〜10月)にかけて」、幹への除草剤注入や切り株への塗布処理を行うのが最も効率的です。
本記事のまとめポイント
- 桑の木は生長速度が早く、太く頑丈な根が家のインフラや基礎に致命的な損壊を及ぼす可能性がある
- 落果による建物の染色被害や鳥害、アメリカシロヒトリなどの害虫リスクが極めて高い
- かつての養蚕業における「吉祥の木」としてのイメージも、現代の密集した住環境ではデメリットが先行して忌避されている
- 安全に実や葉を収穫して楽しみたい場合は、移動可能で大きさを抑えられる「シャルロットリュス」などの矮性品種を用いた鉢植え栽培が最善である
万が一、住宅密集地で大木化した桑の木の駆除や土木工事が必要になってしまった場合は、ご自身だけで無理をせず、プロの造園業者や専門の駆除業者に最終的な判断を相談していただくことを強くおすすめします。
依頼前に費用感をつかみたい場合は、庭木の剪定料金の相場も参考にしてみてください。
お庭の状況に合わせた最適なアプローチを選んで、ぜひ安心で心地よいグリーンライフを楽しんでくださいね!








