庭にドッグランを作る|後悔しないための失敗例と対策・費用を解説

庭にドッグランを作る|後悔しないための失敗例と対策・費用を解説

愛犬のために庭にドッグランを作りたいけれど、「庭にドッグランを設置して後悔しないか」と不安に思っていませんか?愛犬がリードなしで自由に駆け回る姿は理想的ですが、確かに、しっかり計画しないと費用をかけたのに使えないスペースになってしまう可能性があります。

特に、近隣への迷惑(騒音や臭い)、diyでの施工失敗、地面床材人工芝コンクリートなど)の選択ミスは、後悔につながりやすい重大なポイントです。また、脱走防止のためのフェンス選び、愛犬専用のトイレ設置、おしゃれな空間づくり、さらにはご近所トラブルとして勝手に使われるといった問題への対策も考えておく必要があります。

この記事では、庭にドッグランを作りたい方のために、設置して後悔しないための具体的な失敗例と対策、必要な設備や費用について、専門的な視点から詳しく解説します。

ポイント

  • 庭にドッグランを設置して後悔する具体的な理由
  • diyと業者依頼それぞれの費用相場と注意点
  • 人工芝やコンクリートなど床材・地面選びのポイント
  • フェンスの選び方や近隣トラブル(迷惑)の対策

庭にドッグランを作って後悔した?よくある失敗

  • 作りたい 費用はどのくらい?
  • 迷惑?近隣トラブルの対策
  • diyで設置する際の注意点
  • メンテナンスが大変な地面と床材
  • コンクリートは足腰に悪い?

作りたいけど費用はどのくらい?

庭にドッグランを作りたいと考えたとき、最も気になるのが費用です。結論から言えば、費用は「DIY(自作)で行うか」「専門業者に依頼するか」、そして「どの床材を選ぶか」によって数十万円単位で大きく変動します。

 

DIYの場合の費用目安

DIYの場合の費用目安

DIYで設置する場合、専門業者に依頼する施工費がかからないため、費用を最も安く抑えられる可能性があります。主な出費は「フェンス」と「床材」の材料費です。

 

  • 簡易的なフェンス + 既存の地面(土や砂利):数万円〜
    最も安価な方法ですが、フェンスの強度が低く、地面が凸凹だと愛犬が怪我をするリスクがあります。

  • フェンス + 人工芝やウッドチップを自分で施工:10万円〜30万円程度
    見た目や機能性を高めようとすると、材料費だけでもこの程度の金額になることが多いです。

ただし、これはあくまで材料費です。整地(地面を平らにすること)や排水対策(水たまりを防ぐ)を自分で行うのは非常に労力がかかり、専門知識がないと失敗しやすい点に注意が必要です。

 

専門業者に依頼する場合の費用目安

専門業者に依頼する場合、施工費が含まれるため高額になりますが、仕上がりの美しさと耐久性、安全性が格段に上がります。一般的な費用相場は、ドッグランの広さや設備のグレードによりますが、約30万円〜200万円程度と非常に幅広いです。

主な工事内容と費用相場の内訳(業者依頼)

費用の多くは「床材(舗装)費」と「フェンス設置費」で占められます。

工事内容 費用相場(目安) 備考
床材(舗装) 約3,000円〜14,000円 / ㎡ 天然芝(約6千円〜)、人工芝(約1.2万円〜)、ウッドチップ(約3千円〜)など素材により大きく変動。
フェンス設置 約5,000円〜60,000円 / m 安価なメッシュフェンスからデザイン性の高いアルミフェンスまで幅があります。犬種に合わせた高さも必要です。
立水栓(水場) 約4万円〜10万円 / 箇所 足洗いや水分補給に。お湯が出る混合水栓にする場合はさらに高額になります。
門扉(出入口) 約10万円〜 / 箇所 フェンスとセットで設置。施錠できるものを選びましょう。
整地・排水工事 約5万円〜 地面の状態(傾斜や水はけ)によって必要な工事です。

初期費用を抑えたい場合はDIYが魅力的ですが、安全性や長期的なメンテナンスの手間を考えると、専門業者への依頼が結果的に満足度の高い選択となるケースも多いです。

まずは複数の業者から相見積もりを取り、プランと費用を比較検討することをおすすめします。


迷惑?近隣トラブルの対策

迷惑?近隣トラブルの対策

庭にドッグランを設置して後悔する大きな理由の一つが、ご近所とのトラブルです。

愛犬にとってはストレス発散の楽しい空間でも、周囲の住民にとっては「迷惑」と受け取られる可能性があります。

事前にしっかり対策を講じましょう。

主なトラブルの原因は「騒音(鳴き声)」「臭い(排泄物)」の2点です。

 

騒音(鳴き声)対策

犬が興奮して吠え続けると、騒音トラブルに発展しやすくなります。特に住宅密集地では深刻な問題になりがちです。

  • 目隠しフェンスの設置:
    犬は動くもの(通行人や車、他の動物)に反応して吠えることが多いです。
    外が見えないように、すりガラス調のパネルや板張りのフェンスを設置すると、犬の視覚的な刺激を減らし、興奮を抑える効果が期待できます。

  • 遊ぶ時間を決める:
    早朝や夜間は特に音が響きやすいため、ドッグランで遊ばせる時間を日中に限定するなど、ご近所の生活リズムに配慮するルールを家族内で設けましょう。

  • しつけと環境:
    「無駄吠え」をしないように、日頃からのしつけも重要です。
    また、環境省の「動物の愛護と適切な管理」でも示されているように、犬がストレスを感じにくい環境を整えることも飼い主の責務です。

 

臭い対策

ドッグランを不衛生にしていると、特に夏場は排泄物の臭いが風に乗って広がり、トラブルの原因となります。

  • トイレの場所を決める:
    ドッグラン内の決まった場所(例:砂利を敷いたエリア)で排泄するようにしつけ、他の場所を汚さないようにします。
    詳細は「トイレの設置場所と清掃」の見出しで後述します。

  • こまめな清掃:
    排泄物は見つけ次第すぐに処理するのが鉄則です。
    特に尿は、放置するとアンモニア臭が強くなるため、定期的に水で洗い流したり、ペットに安全な重曹水やクエン酸水をスプレーしたりして中和・消臭しましょう。

  • 排水性の高い床材を選ぶ:
    水はけが悪いと湿気がこもり、臭いや雑菌が繁殖しやすくなります。
    人工芝を敷く場合は、透水性の高い製品を選ぶことが非常に重要です。

 

設置前の挨拶も重要

ドッグランを設置する計画段階で、「庭で犬を遊ばせるスペースを作ります。ご迷惑をおかけしないよう音や臭いには気をつけます」
と、ひと声かけておくだけでも、ご近所の心証は大きく異なります。良好な関係を維持する努力も大切です。

 

diyで設置する際の注意点

diyで設置する際の注意点

費用を抑えるためにドッグランのdiyに挑戦する方も多いですが、専門知識なしで進めると「愛犬が脱走した」「すぐに壊れた」「水浸しになった」といった深刻な後悔につながる危険があります。diyで設置する際は、特に以下の点に注意してください。

 

フェンスの基礎工事は確実に

最も重要なのがフェンスの設置です。簡易的なネットフェンスを地面に挿すだけでは、中型犬や大型犬が寄りかかったり、体当たりしたりした際に簡単に倒れてしまいます。安全性を確保するためには、柱を立てるための基礎(穴を掘り、コンクリートで柱を固定するなど)が不可欠です。

見様見真似の施工では強度が不足し、愛犬が脱走して交通事故に遭うという最悪の事態も起こり得ます。安全性を最優先するなら、フェンスの設置だけでもプロに依頼することを強く検討しましょう。

 

地面の整地と排水対策

人工芝や天然芝を美しく保つには、下地が命です。下地となる地面が凸凹だと水たまりができやすくなります。水はけが悪いと、天然芝は根腐れし、人工芝の下ではカビや雑菌が繁殖して悪臭の原因になります。

DIYでは、地面を平らに「整地」し、水が流れるようにわずかな「勾配(傾斜)」をつける作業が非常に難しいポイントです。転圧機(地面を固める機械)などの専門道具も必要になる場合があります。

水栓(水道)工事には資格が必要な場合も

ドッグランに足洗い場や水飲み場として立水栓を新設する場合、既存の水道管(給水管)から分岐・延長する工事が伴うことがあります。こうした「給水装置」の工事は、水道法に基づき、自治体の水道局から指定を受けた「指定給水装置工事事業者」でなければ行うことができません。(例:東京都水道局 指定給水装置工事事業者制度)無資格でのDIYは法律違反になるだけでなく、漏水などの重大な欠陥を引き起こす可能性があるため、水栓の新設は必ず専門業者に依頼してください。

diyは費用が魅力ですが、愛犬の安全に関わる「フェンス」や、専門知識と資格が必要な「排水」「水道工事」は、無理をせずプロの手を借りるのが賢明な判断と言えます。


メンテナンスが大変な地面と床材

ドッグランの地面(床材)選びは、愛犬の快適さだけでなく、設置後のメンテナンスの手間に直結します。「思っていたより手入れが大変で、結局使わなくなった」というのも、よくある後悔の一つです。主に使われる床材は「天然芝」「人工芝」「ウッドチップ」ですが、それぞれに明確な一長一短があります。

 

天然芝

天然芝

メリット:
犬の足腰に最も優しいとされ、クッション性が高いです。初期費用も比較的安価で、夏場も高温になりにくいです。

デメリット(後悔ポイント):
メンテナンスが非常に大変です。定期的な芝刈り、水やり、雑草抜き、施肥が必須です。犬が同じ場所で排泄を繰り返すと、その部分だけアンモニアで枯れてしまうことがあります。
また、犬が地面を掘り返して庭が穴だらけになったり、雨上がりは足が泥だらけになったりするのも大きな難点です。

 

人工芝

人工芝

メリット:
メンテナンスの手軽さから人気です。天然芝のような芝刈りや水やりは不要で、一年中青々としています。

デメリット(後悔ポイント):
後述しますが、夏場は高温になりやすく、初期費用も高額です。また、排泄物の清掃を怠ると臭いがこもりやすくなります。

 

ウッドチップ

ドッグラン-ウッドチップ

メリット:
クッション性があり、木の香りで消臭効果も期待できます。見た目もおしゃれで、雑草対策にもなります。

デメリット(後悔ポイント):
定期的な補充が必要です。ウッドチップは時間とともに土に還ったり、風で飛ばされたりして量が減っていきます。また、湿気を含みやすく日当たりが悪いとカビや虫が発生する原因にもなります。安価なものだと、木のトゲが愛犬の肉球に刺さる危険性があるため、ドッグラン用として角が丸められた製品を選ぶ必要があります。

 

どの床材を選んだとしても、「設置したまま放置OK」という魔法の床材はありません。「メンテナンスに割ける時間」と「愛犬の安全性」を天秤にかけ、ご自身のライフスタイルに最も合った床材を選ぶことが後悔しないコツです。


コンクリートは足腰に悪い?

「メンテナンスを極限まで楽にしたい」「雑草対策を完璧にしたい」という理由から、庭をコンクリート敷きにして、その上をドッグランとして使用することを検討する方もいます。確かにコンクリートは清掃が容易で衛生的ですが、愛犬への身体的影響を考えると2つの大きなデメリットがあり、全面的な採用は慎重な判断が必要です。

 

足腰への負担

コンクリートは非常に硬い素材です。犬がその上で走ったりジャンプしたりすると、着地の衝撃がクッションなしで直接、足腰の関節(特に股関節や膝、肘)に伝わります。

これはアスファルトの上を走り続けるのと同じで、若いうちは問題なくても、日常的に硬い地面で運動を続けることで、関節炎などの関節系疾患を引き起こすリスクを高める可能性があります。クッション性のある土や芝生に比べ、体への負担は格段に大きいと言わざるを得ません。

 

夏場の高温(やけどのリスク)

夏場の高温(やけどのリスク)

もう一つの深刻な問題が、夏場の蓄熱です。直射日光を浴びたコンクリートはフライパンのように熱を溜め込み、真夏には表面温度が50℃〜60℃を超えることも珍しくありません。

犬は基本的に裸足であり、肉球で地面を歩きます。高温になったコンクリートの上では短時間でやけどをしてしまう危険性が非常に高いです。

結果として、日中は熱すぎてドッグランとして全く使えず、「作ったのに使えない」という後悔に直結します。もし清掃性や衛生面を重視してコンクリートを採用する場合は、全面を覆うのではなく、ドッグランの一角(例えば後述する「トイレスペース」)のみにする、日除け(シェード)を必ず設置する、などの対策が最低限必要です。

愛犬の健康を第一に考えるなら、全面コンクリート敷きは避けるのが賢明でしょう。


庭にドッグランで後悔しない設備

  • 脱走防止のフェンス選び
  • 人工芝のメリット・デメリット
  • トイレの設置場所と清掃
  • おしゃれに楽しむための工夫
  • 勝手に使われるトラブル対策

脱走防止のフェンス選び

脱走防止のフェンス選び

ドッグランの設置において、愛犬の安全と命を守るフェンス選びは最も重要な要素です。フェンスの施工が不十分だったり、犬種に合っていないものを選んだりすると、愛犬が脱走し、交通事故や迷子といった取り返しのつかない後悔につながります。

フェンス選びのポイントは「高さ」「形状」「強度」の3点です。

 

犬種別のフェンスの高さ目安

犬のジャンプ力は犬種や個体差によって大きく異なります。「このくらいで大丈夫だろう」という油断は禁物です。以下の高さを目安に、余裕を持った設計を心がけてください。

フェンスの高さ 犬種の目安 注意点
60cm~80cm以上 チワワ、コーギーなど ジャンプ力が比較的低い小型犬。ただしコーギーは体高が低くても運動能力は高いので注意。
120cm以上 柴犬、ジャック・ラッセル・テリアなど 一般的な小型~中型犬。ジャック・ラッセル・テリアは特に跳躍力が高いため要注意。
150cm以上 ゴールデン・レトリバーなど 一般的な中型犬、大型犬。
180cm以上 ボーダー・コリー、シェパードなど 身体能力が非常に高い犬種。助走をつけると150cmでも超える可能性があるため高さが必須。

犬種だけでなく、愛犬自身の性格や身体能力(特にジャンプ力)をよく観察し、不安であればワンランク上の高さを選ぶことが賢明です。

 

形状と隙間

形状と隙間

フェンスのデザイン(形状)にも注意が必要です。

  • 横桟(よこざん)タイプ:
    横方向にバーが入っているデザイン(ラティスフェンスなど)は、犬が足をかけてよじ登り、ボルダリングのようにして飛び越えてしまう可能性があります。
    犬用としては、足がかりのない縦桟(たてざん)やメッシュタイプが推奨されます。

  • 隙間:
    小型犬の場合、フェンスの網目や、フェンスと地面との隙間からすり抜けてしまうことがあります。地面との隙間は5cm以下にする、フェンスの下にブロックを積むなどの対策が必須です。

 

強度も重要

大型犬の場合、遊んでいる最中に興奮してフェンスに体当たりして倒してしまう可能性もあります。DIYで設置する簡易的なものではなく、プロが施工する(基礎がしっかりした)強度の高いアルミ製やスチール製のフェンスを選びましょう。


人工芝のメリット・デメリット

人工芝のメリット・デメリット

ドッグランの床材として人工芝は、メンテナンスの手軽さから非常に人気がありますが、メリットとデメリットの両方を深く理解しておくことが後悔しないために重要です。

 

人工芝のメリット

最大の利点は、メンテナンスの手軽さ清潔さあります。

  • 天然芝のような定期的な芝刈り、水やり、雑草抜き、施肥が一切不要です。
  • 季節に関わらず、一年中美しい緑色の景観を保てます。
  • 犬が穴を掘って庭を荒らす心配がありません。
  • 雨上がりでも地面がぬかるまず、愛犬の足や体が泥だらけになるのを防げます。
  • 高品質な人工芝はクッション性が高く、犬の足腰への負担を適度に軽減します。

 

人工芝のデメリットと対策

方で、人工芝は「熱」と「臭い」と「費用」に特有のデメリットが存在します。

1. 夏場に高温になる
人工芝は合成樹脂(プラスチック)でできているため、直射日光を浴びると熱を吸収・蓄積し、表面温度が非常に高くなります。真夏には50℃以上になり、愛犬が肉球をやけどするリスクがあります。

<対策>
・遮熱タイプの人工芝を選ぶ。(通常タイプより高価ですが、表面温度の上昇をある程度抑えられます)
・使用前に水を撒く(打ち水)ことで、気化熱により温度を一時的に下げられます。
・シェード(日除け)を設置し、日陰の面積を増やす。

2. 臭いがこもりやすい
人工芝自体は臭いませんが、犬が排泄をした後、その下の地面や、水はけを良くするために敷いた防草シートに尿の成分が残り、アンモニア臭が染み付くことがあります。

<対策>
・排泄後はすぐに水でしっかり洗い流すことを徹底する。・透水性(水はけ)の良い人工芝と、水はけの良い下地(地面)作りが何より重要です。
・ペット用の消臭剤(酵素系やバイオ系のもの)を定期的に使用する。

3. 初期費用が高い
天然芝やウッドチップに比べ、材料費・施工費ともに高額になる傾向があります。

 

人工芝を選ぶ際は、安価なものを選ぶと「すぐに芝が寝てしまった(倒れた)」「水はけが悪くカビが生えた」といった失敗につながりやすいです。ドッグランで使用する場合は、芝葉の密度が高く、耐久性と透水性に優れた高品質な製品を選びましょう。

トイレの設置場所と清掃

ドッグランの衛生環境を保ち、臭いによる近隣トラブルを防ぐためには、専用のトイレスペースを設けることが非常に効果的です。しつけが可能な犬であれば、ぜひ導入を検討してください。ドッグラン全体をトイレにしてしまうと、清掃が追いつかず、愛犬が排泄物の上を走り回ったり、不衛生な場所で寝転ぶことにもなりかねません。

トイレスペースの作り方

トイレスペースの作り方

犬は本能的に「角」や「端」で排泄することを好む傾向があります。ドッグランの隅の一角をトイレスペースとして明確に区切りましょう。

  • 素材:
    他のエリア(人工芝や天然芝)とは素材を変えると、犬が「ここはトイレ」と認識しやすくなります。
    清掃と排水(水洗い)を考慮し、砂利や、表面がザラザラしたコンクリート(洗い出し仕上げなど)がよく使われます。

  • 目印:
    オス犬の場合、マーキングの対象物としてポール(擬木など)を立てておくと、そこをトイレの場所として覚えやすくなります。

  • 囲い:
    低いフェンスやレンガ、ブロックなどで軽く囲うと、より明確にエリアを分けられ、犬も認識しやすくなります。

 

 

清掃と臭い対策

トイレスペースを設置しても、清掃を怠ればそこが強烈な臭いの発生源となります。

  • 糞(フン):
    見つけ次第、すぐに取り除きます。
    これは鉄則です。

  • 尿(シッコ):
    定期的にホースなどで水をかけて洗い流すことが最も重要です。
    これができないと、地面にアンモニア臭が染み付いてしまいます。

  • 消臭剤:
    水洗いだけでは臭いが取れない場合、無害な重曹水や、ペット用に市販されている安全な消臭剤(クエン酸ベースや酵素系など)を散布します。

 

トイレスペースの設置場所

清掃(水洗い)のために、必ず立水栓(水道)の近くに設置してください。水道から遠い場所に作ると、清掃が億劫になり、結果的に不衛生になります。
また、臭いが隣家の窓や換気扇の近くに行かないよう、敷地の境界線からはできるだけ離れた場所に配置する配慮も大切です。


 

おしゃれに楽しむための工夫

おしゃれに楽しむための工夫

ドッグランは愛犬の運動スペースであると同時に、家族が一緒に過ごす大切な「庭」でもあります。機能性一辺倒ではなく、おしゃれな空間にすることで、飼い主さんの満足度も大きく向上し、愛犬と過ごす時間がさらに豊かになります。以下に、機能性とデザイン性を両立させる工夫をいくつか紹介します。

 

日除け(シェード・テラス屋根)

夏場の熱中症対策として必須の設備ですが、デザイン性を高めるアイテムとしても非常に有効です。建物やフェンスの柱を利用し、三角や四角の「シェードセイル」を張るだけで、一気にカフェのようなモダンな雰囲気が出ます。また、建物に隣接して「テラス屋根」を設置すれば、飼い主さんが雨や強い日差しを気にせず愛犬を見守る、快適なリラックススペースが生まれます。

 

水飲み場(立水栓)

単なる無機質な水道の蛇口ではなく、デザイン性の高い「立水栓(りっすいせん)」と「ガーデンパン(水受け)」を選ぶと、庭全体の優れたアクセントになります。レンガ調や木目調、スタイリッシュなステンレス製など、家の外観とテイストを合わせることで、空間全体に統一感が生まれます。

 

遊具(アジリティ)

ドッグランが単調で犬が飽きてしまうのを防ぐため、簡単な遊具を置くのもおすすめです。市販されている「スロープ(坂)」「トンネル」「ハードル」などを設置すれば、愛犬の運動能力向上にも役立ちますし、見た目にも楽しいドッグランになります。

 

照明(ライティング)

夜間にドッグランを使用する場合や、防犯のために照明は役立ちます。ただ明るく照らすだけでなく、愛犬の目に直接強い光が入らないよう、足元を優しく照らすポールライトや、フェンスやシンボルツリーを間接的に照らすアップライトなどを効果的に配置すると、日中とは異なる幻想的でおしゃれな空間を演出できます。


勝手に使われるトラブル対策

あまり考えたくないことですが、庭のドッグランが「道路から入りやすい」「公園の延長のように見える」といった立地の場合、近所の子どもや他の犬の飼い主が勝手に侵入するという深刻なトラブルが稀に発生します。これはプライバシーの侵害であると同時に、愛犬が驚いてその人を噛んでしまったり、逆に他人の犬が病気を持ち込んだり、他人が怪我をしたりする原因にもなりかねません。対策は必須です。

 

物理的な侵入防止(施錠)

物理的な侵入防止(施錠)

最も確実な対策は、ドッグランの出入り口となる「扉(門扉)」に必ず鍵(錠)をかけることです。ダイヤル錠や南京錠でも構いません。高機能なものとして、自動で扉が閉まる「オートクローザー」機能付きの門扉であれば、家族の閉め忘れも防げます。道路に面したフェンスが低すぎると、乗り越えて侵入される可能性もあります。前述の通り、一定の高さを確保することは、愛犬の脱走防止だけでなく防犯上も非常に重要です。

 

意思表示(看板・サイン)

意思表示(看板・サイン)

物理的な対策と併せて、「ここは私有地である」ことを明確に周囲に示すことも有効です。

  • 「私有地につき関係者以外の立入禁止」という看板を設置する。
  • 「猛犬注意」のステッカーを貼る(たとえ愛犬がおとなしくても、侵入をためらわせる心理的効果があります)。
  • 防犯カメラの設置や、目立つ場所に「防犯カメラ作動中」のサインを掲示する。

 

注意ポイント

「勝手に」侵入してくるケースだけでなく、ご近所の方から「うちの犬も遊ばせて」と頼まれることもあるかもしれません。しかし、万が一その犬があなたのドッグランで脱走したり、怪我をしたりした場合、施設の管理責任を問われるリスクが伴います。トラブルを避けるためにも、安易に他人や他人の犬を敷地内に入れるのは、よほど信頼できる関係でない限り慎重になるべきです。

 


まとめ:庭にドッグランを設置して後悔しないために

庭にドッグランを設置して後悔しないためには、計画段階での準備とリサーチがすべてです。

愛犬と家族が笑顔で過ごせる空間にするために、この記事で解説した重要なポイントを最後にもう一度まとめます。

  • 費用はDIYなら10万円から、業者依頼なら30万円から200万円と幅が広い
  • 初期費用だけでなくメンテナンス費用(ランニングコスト)も考慮する
  • 騒音(鳴き声)対策として目隠しフェンスや遊ぶ時間の配慮が必須
  • 臭い対策として排泄物のこまめな清掃と水はけの良い床材を選ぶ
  • DIYでのフェンス設置は基礎工事が不十分だと脱走のリスクがある
  • 水栓(水道)の新設工事は有資格業者に依頼する
  • 天然芝はメンテナンス(芝刈り、雑草、水やり)が非常に大変
  • ウッドチップはトゲやカビのリスク、定期的な補充の手間に注意する
  • コンクリートは犬の足腰に負担がかかり夏場は高温でやけどの危険がある
  • フェンスは犬種に合わせた高さ(120cm~180cm)と形状(縦桟やメッシュ)を選ぶ
  • 人工芝は夏場の熱対策(打ち水やシェード)と臭い対策(清掃)が重要
  • トイレスペースは水場の近くに設け、芝以外の素材(砂利など)にする
  • おしゃれな空間にするため日除けやデザイン性の高い立水栓を検討する
  • 犬に有毒な植物(アジサイ、スイセン、ツツジなど)は植えない
  • 勝手な侵入を防ぐため門扉には必ず施錠する

 

  • この記事を書いた人

なおと

はじめまして! 知識ゼロからDIYでの庭づくりに挑戦し、たくさんの失敗を乗り越えてきた経験を元に、初心者さんがつまずきやすいポイントを丁寧に解説しています。雑草だらけだった庭が、少しずつお気に入りの空間に変わっていく喜びを、あなたと分かち合えたら嬉しいです。 詳しいプロフィールはこちら »

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