木を枯らさない除草剤おすすめ！庭木の根元や果樹に使える選び方

こんにちは。お庭マエストロ、運営者の「なおと」です。

丹精込めて育てているお庭の樹木や、毎年美味しい実をつけてくれる果樹。これらは私たちにとって、単なる植物という枠を超えた、家族のような大切な存在ですよね。しかし、その足元を見てみると、いつの間にか雑草がびっしりと生えていて、ため息をついている方も多いのではないでしょうか。

「草むしりは腰が痛くなるから、できれば除草剤で楽をしたい。でも、大切な木を枯らさない除草剤がどれなのか分からなくて怖い…」

その不安、痛いほどよく分かります。実は、ホームセンターの棚には「木を枯らしてしまう除草剤」と「木を守りながら草だけ枯らす除草剤」が混在しており、選び方を一つ間違えるだけで取り返しのつかない事故につながることがあるからです。

この記事では、庭木や果樹を絶対に守り抜きたいあなたのために、私が普段から実践している「樹木共存型」の雑草管理術を余すところなくお伝えします。おすすめの商品の選び方はもちろん、なぜその除草剤なら安全なのかという科学的な裏付けまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。

知識編：木を枯らさない除草剤のおすすめな選び方

商品を手に取る前に、まずは「なぜ草だけ枯れて木は枯れないのか」という仕組みをしっかりと理解しておきましょう。ここを曖昧にしたまま作業を始めると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。

大切な庭木は絶対に枯らしたくない

お庭づくりを楽しんでいる私たちにとって、庭木は長い年月をかけて育ててきた「資産」そのものです。シンボルツリーとして植えた記念樹や、季節ごとに花を咲かせる植栽、あるいは収穫を楽しみにしている果樹たち。これらを失う精神的なショックと経済的な損失は計り知れません。

ネットで「木を枯らさない 除草剤 おすすめ」と検索されているあなたは、きっと「失敗したくない」という強い思いをお持ちのことでしょう。その慎重さは素晴らしいことです。なぜなら、除草剤による薬害事故の多くは、「まあ大丈夫だろう」という軽い気持ちで、手元にあった薬剤を適当に撒いてしまった結果として起きているからです。

除草剤には、大きく分けて「植物を無差別に枯らすもの」と「特定の植物だけを枯らすもの」、そして「土に残るもの」と「土に残らないもの」があります。私たちが選ぶべきなのは、「土に残らず、かかった葉っぱだけを枯らす」タイプです。この基本原則さえ押さえておけば、愛する庭木を守りながら、煩わしい雑草との戦いに終止符を打つことができます。

粒剤を撒くと庭木が枯れる原因になる

まず最初に、一番やってはいけない間違いからお話しします。それは、手軽そうだからといって、パラパラと粒を撒くタイプの「粒剤（顆粒タイプ）」を庭木の周りで使ってしまうことです。

なぜ粒剤は木を枯らすのか？

粒剤は「土壌処理型除草剤」とも呼ばれ、その名の通り「土」に作用します。地面に撒かれた成分は、雨や土壌水分に溶け出し、土の表面近くに「処理層」というバリアを作ります。そして、これから生えてくる雑草の芽や、今生えている雑草の根から成分を吸収させて枯らす仕組みです。

ここで大きな問題となるのが、庭木の根の広がり方です。

「木の真下じゃなければ大丈夫でしょ？」と思われがちですが、実は樹木の根、特に水分や養分を吸収する「細根（さいこん）」は、私たちが想像している以上に広く、そして浅く張っています。一般的に、枝葉が広がっている範囲（樹冠下）の外側まで根は伸びており、深さも地表から5cm〜30cmという、まさに除草剤の成分が浸透するエリアに集中しているのです。

吸収された除草成分は、木の中を通って全体に運ばれ、じわじわと光合成を阻害したり、成長を止めたりします。その結果、数ヶ月後に突然葉が黄色くなって落ちたり、最悪の場合は木全体が枯死してしまったりするのです。

ネコソギなどの粒剤は散布場所に注意

テレビCMなどでもおなじみの「ネコソギ」シリーズなどの粒剤タイプ。これらは「長期間草が生えない」という強力な効果を持っており、駐車場や家の裏側など、管理が大変な場所には本当に頼もしい味方です。

適材適所が鉄則

しかし、その強力さは「諸刃の剣」でもあります。粒剤の効果は3ヶ月から半年、長いものでは9ヶ月近くも土の中に成分が残留し続けます。これはつまり、その期間中は「植物が育たない土」にしてしまうということです。

もし、庭木の近くや、将来植物を植えたいと思っている場所でこれを使ってしまったらどうなるでしょうか？

• 慢性的なダメージ： 庭木が長期間にわたって毒素を吸い続け、徐々に弱っていきます。
• 土壌汚染のリスク： 一度撒いてしまった粒剤は、回収することが事実上不可能です。

「木を枯らさない」ことを最優先にするなら、庭木や花壇があるエリアでは粒剤の使用は一切封印してください。粒剤が活躍するのは、コンクリートで区切られた駐車場や、植物を一切植える予定のない砂利敷きのスペースなど、木の根が絶対に入り込まない場所に限定しましょう。

もし、どうしても広い範囲の雑草に困っていて、手っ取り早く管理したいという場合は、後述する液体タイプの除草剤をこまめに使うか、あるいは物理的に日光を遮断する防草シートの導入などを検討するのも一つの手です。

（関連して、もし雑草だらけで手がつけられないお庭の対処法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。） 庭の手入れをしない人の末路と解決策！放置のリスクと庭じまい術

除草剤で木が枯れたら復活は困難

「間違って粒剤を撒いてしまい、庭木の様子がおかしい…なんとか復活させる方法はないですか？」

私のブログにも、悲痛な叫びのような相談が寄せられることがありますが、正直に申し上げますと、除草剤の影響で一度枯れ始めた木を復活させることは、極めて困難です。

不可逆的なダメージの理由

虫害や病気であれば、薬剤散布や剪定で回復する可能性があります。しかし、除草剤による薬害、特に「土壌処理型（粒剤）」による被害は、木の生理機能そのものを内部から破壊してしまうため、手の施しようがないケースがほとんどなのです。

1. 根からの継続的な吸収： 土の中に成分が残っている限り、木は毒を吸い続けます。
2. 全身への移行： 吸収された成分は、幹、枝、葉の隅々まで行き渡ってしまっています。
3. 解毒剤が存在しない： 残念ながら、植物に取り込まれた除草剤を中和するような都合の良い薬剤は市販されていません。

できることと言えば、大量の水を与えて土壌中の成分を薄めようと試みること（活性炭を埋め込む方法もありますが、専門的で大掛かりになります）くらいですが、これも確実な効果が約束されたものではありません。

安全な木を枯らさない除草剤の仕組み

では、いよいよ本題です。庭木の根元でも安心して使える「木を枯らさない除草剤」とは、一体どのようなものなのでしょうか？

その正体は、「アミノ酸系」の「茎葉処理型（けいようしょりがた）」除草剤です。代表的な成分には「グリホサート」や「グルホシネート」があります。

魔法のような「土壌不活性化」

このタイプの除草剤が安全とされる最大の理由は、「土に落ちると速やかに効果を失う（土壌不活性化）」という驚くべき性質にあります。

このメカニズムのおかげで、私たちは木の根元ギリギリまで生えている雑草に対して、安心して除草剤をかけることができるのです。「葉っぱにかけさえすれば枯れる、でも土に落ちれば安全」。これが、現代の農学が生み出した、樹木と共存できる除草技術の核心です。

塩や熱湯を使った除草は絶対にNG

「化学薬品はなんとなく怖いから、家にあるもので代用したい」と考え、ネットで検索すると出てくるのが「塩」や「熱湯」、「お酢」を使った除草方法です。しかし、これらは庭木のある環境では、除草剤以上に危険で破壊的な行為であることを知っておいてください。

1. 塩（食塩）の恐怖：永遠の不毛地帯へ

「塩を撒けば草が枯れる」というのは事実です。しかし、塩（塩化ナトリウム）は自然界で分解されることがありません。一度撒いてしまうと、雨で流されない限り、半永久的にその場所に留まり続けます。

塩分濃度の高い土壌では、浸透圧の関係で植物は根から水を吸えなくなり、脱水症状を起こして枯れ果てます（塩害）。これは雑草だけでなく、大切な庭木も例外ではありません。大木であっても、根元に塩を撒かれれば枯死します。

さらに、建物のコンクリート基礎や鉄配管を腐食させる原因にもなり、家の資産価値そのものを下げることになりかねません。絶対に、何があっても庭に塩を撒いてはいけません。

2. 熱湯の危険性：根を煮殺してしまう

熱湯もまた、物理的に植物の細胞を破壊するため除草効果はあります。しかし、樹冠下の地面には、木の生命線である「細根」が無数に走っています。そこに大量の熱湯を注ぐということは、雑草と一緒に木の根も煮て殺してしまうことを意味します。除草剤よりも遥かに直接的なダメージを木に与えてしまうのです。

3. お酢の限界

お酢（酢酸）は食品成分なので、安全性という意味ではマシですが、酸性が強すぎると土壌環境を悪化させます。また、お酢には「根まで枯らす力」がないため、地上の葉が茶色くなっても、すぐにまた雑草が生えてきてしまいます。コスパと労力を考えると、あまりおすすめできる方法ではありません。

安易な民間療法に頼るよりも、しっかりと科学的に検証され、安全性が確認されている農薬登録済みの除草剤を正しく使う方が、結果的に環境にも庭木にも優しい選択となります。

実践編：木を枯らさない除草剤のおすすめ製品と活用

ここからは、私「なおと」が実際にお庭の手入れで使用しているおすすめの製品と、失敗しないための具体的な使い方をご紹介します。

樹木への影響を避けて散布するコツ

いくら「土に落ちれば安全」な除草剤を選んだとしても、散布中に薬剤が風で流されて、庭木の葉っぱに直接かかってしまえば薬害が出ます。これを「ドリフト（飛散）」と呼びます。

プロの造園業者も実践している、ドリフトを防ぐための3つの鉄則を伝授します。

① 風のない穏やかな日を選ぶ

基本中の基本ですが、風速3m以上の風がある日は作業を中止してください。目安としては、木の枝が風で揺れているような日はNGです。早朝など、風が止まっている時間帯を狙うのがベストです。

② 飛散防止カバーや専用ノズルを使う

もし噴霧器（タンク）を使って散布する場合は、ノズルの先端に「飛散防止カバー（ラッパのような形をしたプラスチックの覆い）」を取り付けることを強くおすすめします。これがあるだけで、薬剤が横に飛び散るのを物理的に防ぎ、狙った雑草だけにピンポイントで散布できるようになります。

また、ノズル自体も「除草剤専用」のものを選びましょう。殺虫剤用のノズルは霧が細かすぎて風に流されやすいのですが、除草剤用は粒子が大きく、泡状に出るように設計されているため、飛散リスクを大幅に減らせます。

③ 木の幹にはかかっても大丈夫？

これはよく聞かれる質問ですが、ある程度成長した樹木の幹は、コルク質でできた厚い「樹皮」に覆われています。この樹皮は死んだ細胞の集まりなので、ここへ多少薬剤がかかったとしても、内部まで浸透することはまずありません。

ただし、注意が必要なのは以下の部分です。

• 緑色の若い枝や幹： まだ樹皮が形成されていない部分は吸収してしまいます。
• ひこばえ： 根元から生えてくる若い芽（吸枝）。ここは養分の通り道が本体と繋がっているため、ここにかかると本体へダメージが行く可能性があります。
• 傷口： 剪定直後の切り口や、樹皮が剥がれている部分。

これらには絶対にかからないよう、慎重に作業を行ってくださいね。

木の下の雑草だけ枯らす茎葉処理剤

庭木の周りに生い茂る雑草「だけ」を枯らすためには、目的に合わせた成分選びが重要です。大きく分けて2つの系統があります。

1. グリホサート系（根までしっかり枯らす）

葉から吸収された成分が、植物の体液（師管）に乗って、地下の根っこや地下茎の先端まで運ばれます（移行性）。

• メリット： 再生力の強い多年生雑草（スギナ、ドクダミ、チガヤなど）を根絶やしにできます。
• 注意点： 効果が出るまでに数日〜2週間ほどかかります。じっくり待ちましょう。
• 代表製品： サンフーロン、ラウンドアップなど

2. グルホシネート系（速効性があり、地上部を枯らす）

薬剤がかかった部分（接触した部分）を変色させて枯らします。成分の移行性はグリホサートほど強くありません。

• メリット： 散布後1〜3日で枯れ始めます。移行性が弱いため、万が一庭木の「ひこばえ」に少しかかっても、本体への影響が限定的で済むという安心感があります。
• 注意点： 根まで完全に枯らす力はやや劣るため、地下茎で増える雑草は再生してくることがあります。
• 代表製品： バスタ液剤、ザクサ液剤など

庭木の根元に使える除草剤の選び方

ホームセンターで商品を選ぶ際、必ずチェックしてほしいのがボトルの裏面にあるラベルです。

「適用作物名」を確認しよう

ここが空白だったり、「樹木等」と曖昧に書かれていたりするものではなく、具体的な作物名（「果樹類」「樹木類」「林木」など）が明記されているものを選んでください。

特に重要なのが、「農耕地用」か「非農耕地用」かという区別です。

• 農耕地用（農薬登録品）： 国（農林水産省）の厳しい基準をクリアし、作物への安全性や残留性が確認されたもの。果樹や庭木の周りで使用できます。
• 非農耕地用： 安全性試験の一部が免除されているため、安価ですが、植物を栽培している場所では使用できません（法律違反になる恐れもあります）。

（ちなみに、コンクリートの隙間から生える雑草など、特殊な場所の除草については、別の記事でも詳しく解説しています。） コンクリートの隙間の雑草対策！除去と埋める補修の完全ガイド

果樹や広い庭にはサンフーロンが最適

数ある除草剤の中で、私「なおと」が自信を持っておすすめする、コスパ最強の一本が「サンフーロン」です。

なぜサンフーロンなのか？

サンフーロンは、世界で最も使われている除草剤「ラウンドアップ」のジェネリック医薬品的な存在です。初代ラウンドアップの特許が切れた後に作られたため、成分（グリホサートイソプロピルアミン塩）や効果はほぼ同じでありながら、価格が非常に手頃に設定されています。

しかし、安かろう悪かろうではありません。サンフーロンの最大の強みは、その豊富な適用作物の登録数にあります。

• 果樹： ミカン、リンゴ、ナシ、ブドウ、カキ、モモ、イチジクなど多数
• 樹木： 樹木類全般

このように、多くの果樹園や造園現場でプロが使用している実績があります。「広い庭の雑草を一掃したいけれど、高い除草剤を毎回買うのはお財布に厳しい…でも、安全性には妥協したくない」。そんな私たちのワガママな願いを叶えてくれる、非常にバランスの良い優等生なのです。

スギナに対しても、濃度を少し濃く（25倍希釈など）して散布することで、地下茎まで枯らすことができます。

手軽なシャワータイプも活用しよう

「希釈して薄めるのが面倒くさい」「噴霧器やジョウロを用意するのが大変」という方には、ボトルのキャップを開けてそのままサッとかけられるシャワータイプ（ストレートタイプ）が便利です。

家庭用として販売されているシャワータイプの中にも、素晴らしい製品があります。

1. カダン除草王 ザッソージエース

フマキラー社から出ているこの製品は、グリホサートカリウム塩を配合しており、「根まで枯らす」力が強力です。スギナやササといった頑固な雑草にも効果を発揮します。もちろん、土に落ちれば分解されるので、庭木の周りでも使用可能です。

2. グリーンスキットシャワー

エムシー緑化の製品で、特筆すべきは「52種類の作物」の周りで使えるという登録の広さです。庭木だけでなく、花壇の花や家庭菜園の野菜が混在しているような、複雑な植栽のお庭でも安心して使えるのが魅力です。

これらのシャワータイプは、気づいた時にサッと処理できる機動力が売りです。「週末の朝、庭に出たついでに気になった草だけ枯らす」といった使い方ができるので、一本常備しておくと重宝しますよ。

結論：木を枯らさない除草剤おすすめ

長くなりましたが、最後に今回の内容をまとめます。大切な庭木や果樹を守りながら、雑草ストレスから解放されるための「木を枯らさない除草剤」の選び方は以下の通りです。

「除草剤は怖いもの」というイメージがあるかもしれませんが、作用の仕組みを正しく理解し、適切な製品を選べば、これほど心強いガーデニングの味方はありません。

また、農薬の使用に関しては、農林水産省が公開している登録情報を確認することも大切です。最新の適用状況などは、以下の公式サイトでも検索できます。

（出典：農林水産省『農薬登録情報提供システム』）

この記事が、あなたの大切な庭木を守り、より快適で美しいお庭づくりの一助となれば幸いです。雑草に悩まされる時間を減らして、その分、木を愛でる時間を増やしていきましょうね。