
こんにちは。お庭マエストロ、運営者の「なおと」です。
「掘り込み車庫の上の庭」って、なんだか秘密基地みたいでワクワクしますよね。土地を最大限に活用できる、まさに究極の選択肢かなと思います。私も敷地を垂直に使うアイデアとして、すごく興味がある分野です。
でも、いざ「掘り込み 車庫の上 庭」と調べてみると、「デメリット」や「後悔」といった、ちょっと不安になる言葉も目に入ってきます。特に「漏水」の問題は、車庫の上が「常に水を含む土」である以上、避けて通れない最大の心配事ですよね。他にも、高額になりがちな「費用」のこと(場合によっては1000万円超?とも)、そもそもその重さに「耐荷重」は大丈夫なのか、もし「固定資産税」が上がったらどうしよう…と、疑問は尽きないかもしれません。
さらに、このプロジェクトの心臓部である「防水工事」や「防根対策」を、コスト削減のために「DIY」で挑戦できるものなのか、それともリスクを避けて「ウッドデッキ」のような他の選択肢を選ぶべきか、悩ましいポイントがたくさんあると思います。
この記事では、そんな掘り込み車庫の上の庭に関する様々な疑問や不安について、知っておくべきポイントをできるだけ詳しく整理していきます。夢の空間づくりで後悔しないために、ぜひ一緒にチェックしていきましょう。
ポイント
- 掘り込み車庫の上の庭が持つ魅力と重大なリスク
- 「漏水」や「爆裂」がなぜ起こるのか、そのメカニズム
- 1000万円超?プロジェクトにかかる費用の内訳
- 失敗しないために不可欠な技術と長期的な維持管理の方法
掘り込み車庫の上の庭、その魅力と重大リスク
掘り込み車庫の上に庭を造る計画は、都市部の限られた敷地を最大限に活用できるという、計り知れないメリットがありますよね。地上部をすべてオープンスペースとして使えるわけですから。しかし、その魅力的な選択は、通常の地上でのガーデニングとは比較にならないほど重大な「技術的リスク」を抱えています。まずは計画の前に、その両面をしっかり見比べてみることが、後悔しないための第一歩ですね。
知っておきたいデメリットと後悔
憧れだけで進めてしまうと、「こんなはずじゃなかった」という「後悔」につながりかねないポイントがいくつかあります。特に「庭」と「車庫」を組み合わせることによる「複合デメリット」は深刻です。
最大の複合リスク:「植物の根」による攻撃
これが庭園特有の最大のリスクだと私は思います。水を求める植物の根は、私たちが思う以上に強靭です。特に竹や笹、一部の大型樹木などの根は、コンクリートのわずかなひび割れや、防水層の「継ぎ目」や「端部」といった弱点を狙って侵入しようとします。これは、単なる雨漏りとは違い、植物による構造物への積極的な「攻撃」であり、防水システム全体を物理的に破壊してしまう可能性があるんですね。
高額な初期費用と追加コスト
掘り込み車庫は、そもそも構造上、どうしても高額な初期費用がかかります。地面を深く掘削し、周囲の土が崩れないように堅牢な「土留め壁(擁壁)」を作る必要があるからです。これだけでも地盤や高さによっては数百万円単位の費用になることが珍しくありません。
さらに、掘削によって発生する大量の「残土処分」の費用や、地盤が軟弱な場合の「地盤改良費」など、見落としがちな追加コストが発生する可能性も考慮しておく必要があります。
生活動線と将来の制約
忘れてはならないのが、日々の「生活動線」への影響です。掘り込み車庫は家や庭よりも低い位置にあるため、家に出入りするには必ず階段の上り下りが発生します。若い頃は気にならなくても、高齢になった時や、ベビーカー、重い買い物袋を運ぶ時など、日々の生活で大きな負担になる可能性は考慮しておきたいですね。
また、一度コンクリート躯体で造ってしまうと、その後の拡張はほぼ不可能です。将来、家族が増えて「大きな車に買い替えたい」と思っても、スペースの拡張はできない、という点も大きなデメリットかなと思います。
最大のリスク、漏水と爆裂のメカニズム
掘り込み車庫の上の庭で最も深刻で、最も「後悔」に直結するトラブルが「漏水」です。これは単に「水が垂れてきて車が濡れる」といった軽微な問題ではありません。放置すれば車庫の構造体そのものを破壊し、最終的には法的な責任問題にまで発展する危険性があります。
漏水を引き起こす3大原因
なぜ漏水が起こるのか。主な原因は以下の3つです。
- 防水層の経年劣化: 新築時にどれほど完璧な防水工事を施しても、防水層は永久ではありません。紫外線、夏の高温と冬の低温による伸縮、車両の出入りによる微細な振動に常にさらされ、徐々に劣化し、ひび割れや剥がれが生じます。
- 植物の根による物理的破損: 前述の通り、植物の根が防水層の継ぎ目やわずかな隙間に侵入し、防水システム全体を内部から破壊します。
- 排水ドレン(排水溝)の詰まり: 庭園からは、落ち葉や土砂が必然的に発生します。これらが排水ドレンを塞ぐと、車庫の屋上全体が「プール」のような状態(湛水状態)になります。防水層は「排水されること」を前提に設計されており、「常に高い水圧がかかり続ける状態」は想定外。この状態が続くと、防水層のわずかな弱点(ピンホールや継ぎ目)から、水がコンクリート内部へと強く押し込まれていくことになります。
そして、この漏水を放置した先にある、最悪のシナリオが「爆裂(ばくれつ)」という現象です。
コンクリートを内部から破壊する「爆裂」
爆裂とは、コンクリート内部で起こる連鎖的な破壊活動です。
- 水の侵入と鉄筋の錆び: 漏水によって水がコンクリート内部に侵入し、構造体の中にある鉄筋に到達します。本来、コンクリートの強アルカリ性によって鉄筋は錆から守られていますが、水と空気が触れることで鉄筋が錆び始めます。(中性化とも関連します)
- 体積膨張: 鉄は、錆びると体積が元の数倍に膨張する性質を持っています。
- コンクリートの破壊(爆裂): 内部で膨張した鉄筋が、周囲のコンクリートを内側からとてつもない力で押し出します。この圧力に耐えきれなくなったコンクリートが、ひび割れ、最終的には剥がれて剥落します。これが「爆裂」です。
最悪の事態「所有者責任」
もし、この爆裂で剥がれ落ちたコンクリートの塊が、真下にある車を直撃して破損させるだけならまだしも、万が一、家族や通行人などの第三者に被害を及ぼしてしまった場合…。
これは「建物の瑕疵(欠陥)を知りながら放置した」として、所有者責任(民法上の工作物責任など)を問われる可能性もゼロではありません。漏水は、車庫の資産価値を守るためだけでなく、こうした法的な責任問題に発展させないためにも、絶対に防がなければならない最重要課題なんですね。
しかも、一度漏水すると、修理は極めて困難です。水はコンクリート内部を伝うため、漏れている場所の真上が原因箇所とは限りません。原因を特定・修理するには、造り込んだ庭の植栽や軽量土壌をすべて撤去し、防水層を完全に露出させる必要があり、これは庭をもう一度造り直すのに等しい、莫大な費用と労力を意味します。
必須の防水工事と防根対策
では、どうすればこの深刻な漏水を防げるのか。その答えは、計画・設計段階での「防水」と「防根」のシステム構築にあります。
これはもはや「造園」や「ガーデニング」というより、完全に「建築工学」の領域ですね。庭の安全性は、土の下にある目に見えない階層構造によって支えられています。
庭園を守る階層構造(概念)
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安全な車庫上の庭は、一般的に以下のような専門的な資材がミルフィーユのように重なってできています。
- (上)植栽
- 軽量土壌: 通常の土より軽く、保水性と排水性を兼ね備えた専用の土。
- フィルター(透水シート): 軽量土壌が下の層に流れ出すのを防ぎ、水だけを通す。
- 排水パネル(排水層): 土壌にしみ込んだ余分な水を速やかに排水溝へと導くための「水の通り道」。根腐れを防ぎ、土壌が水を含みすぎて重くなる(過荷重)のを防ぐ。
- 防根(耐根)シート: 植物の根が下の防水層に到達するのを物理的に止める、最も重要なバリアの一つ。低密度ポリエチレン製で一定の厚みがあるものなどが使われます。
- 防水層: 水の侵入を止める最後の砦。最も信頼性の高い工法が求められる。
- (下)車庫の構造スラブ(コンクリート)
特に重要なのが、「防水層」と「防根シート」です。この2つは、このプロジェクトの心臓部と言っても過言ではありません。ここで「費用を抑えたい」と初期費用を惜しむと、数年後にその何倍もの修理費用になって返ってくる…という典型的なパターンに陥りがちです。
植物の根による防水層の破壊は、このプロジェクト特有の最大のリスクであり、専用の防根シートの敷設は絶対に省略してはいけない、必須の工程だと私は強く思います。
固定資産税の対象になる?
掘り込み車庫を造る(あるいはリフォームする)となると、気になるのが「固定資産税」ですよね。「車庫の上の庭」だから特別にかかる、というよりは、「掘り込み車庫」自体がどう扱われるかがポイントになります。よく比較されるカーポートとの違いを見てみましょう。
固定資産税の課税対象となる「建物」とみなされるかどうかは、地方税法に基づき、以下の3つの要件を満たすかで判断されます。
- 土地への定着性: 基礎などで土地にしっかりと固定されており、簡単に移動できないこと。
- 外気分断性(周壁性): 屋根があり、3方向以上が壁で覆われ、風雨をしのげる空間であること。
- 用途性: 居住、作業、貯蔵(車庫)など、その空間が特定の利用目的に明確に供されていること。
カーポートとの決定的な違い
柱と屋根だけで構成される一般的な「カーポート」は、「壁」がないため「外気分断性」がないとみなされます。そのため、「建物」には該当せず、固定資産税の対象外なんですね。登記も不要です。
しかし、「掘り込み車庫」は、コンクリートやブロックで造られ土地に強固に定着し(定着性)、3方向以上が壁やシャッターで囲まれ屋根(上の庭の床スラブ)があり(外気分断性)、車を保管するという明確な目的があります(用途性)。
したがって、掘り込み車庫は上記3要件をすべて満たし、法的に「建物」として扱われ、固定資産税の課税対象となります。
これは節税できるか、という話ではなく、掘り込み車庫を選択した時点で法的に課税対象となる、と理解しておく必要がありそうですね。
登記の法的義務
また、掘り込み車庫が法的に「建物」とみなされるということは、単に税金がかかるだけではありません。不動産登記法に基づき、「建物」としての登記申請が義務付けられています。この登記申請を怠ると、未登記建物となり、10万円以下の過料が科せられる可能性もあるため、注意が必要です。
なお、固定資産税はあくまで車庫という「建物」に対して課税されるもので、その上の「庭(造園や外構)」が直接的に課税対象となるわけではないようです。
とはいえ、これらは法律や税務が関わる非常に専門的な領域です。詳しい税額の試算や法的な手続きについては、お住まいの自治体の税務課や、建築を依頼する工務店、あるいは土地家屋調査士、税理士といった専門家に必ずご相談ください。
重要な耐荷重と構造計算
「車庫のコンクリート屋根って、どのくらい丈夫なの?」「庭の土や木を載せて、本当に大丈夫?」というのも、最も根本的で重要な疑問ですよね。
「駐車場のコンクリート厚は10cm~15cm」といった情報をインターネットで見かけることがありますが、あれは注意が必要です。
「土間コンクリート」と「スラブ」は別物
その情報の多くは、地面に直接コンクリートを打つ「土間(どま)コンクリート」の話がほとんどです。土間コンは、重さを地面が直接支えてくれます。
しかし、掘り込み車庫の屋根は、地面に接していない「浮いた床版(スラブ)」です。下には空間(車庫)しかありません。つまり、スラブ自体が「庭の全重量」と「上からの力(人や雪など)」をすべて支えなければならない、全くの別物です。
専門家による厳密な構造計算が必須
建物の床や梁と同じように、鉄筋コンクリート造として厳密な「構造計算」が絶対に必要になります。
建築基準法では、安全を見越して、住宅などの屋上やベランダの床が支えるべき重さ(積載荷重)を規定しています(出典:建築基準法施行令 第八十五条)。例えば、住宅の屋上などは 1平方メートルあたり 180kg(1,800N/m²)の積載荷重で構造計算を行うよう定められています。
屋上緑化用の「軽量土壌」を使った芝生(土厚5cm程度)でも、乾燥時で約70kg/m²ほどになると言われています。これが雨水を含んだ「飽和時重量」になると、さらに重くなります。
もし、芝生だけでなく樹木を植えたり、土を厚く盛って築山(つきやま)を造ったり、あるいは豪雪地帯で雪が積もる、大勢の人が集まる…といった場合、その「想定される最大の重量」に余裕をもって耐えられるよう、専門家(建築士)によるスラブの厚さや鉄筋の量の計算が不可欠です。
ここを疎かにすると、構造的な安全性を確保できず、最悪の場合、崩落などの取り返しのつかない事故につながりかねません。
掘り込み車庫の上の庭、実現の技術と費用
では、実際にこの魅力とリスクが共存するプロジェクトを実現するには、どれくらいの費用を見ておけば良いのでしょうか。そして、リスクを回避するためにはどんな技術が使われているのか、さらに具体的に掘り下げて見ていきましょう。費用の内訳と、それを支える技術(特に防水)は、セットで考える必要がありますね。
費用1000万円超?総額と内訳
掘り込み車庫の上の庭プロジェクトは、多くの場合、非常に高額な投資になる可能性があります。「1000万円超」というのも、決して大げさではないケースがあります。その総費用は、大きく3つのパートに分けて考える必要があります。
- A. 車庫本体の工事費(掘削・躯体・擁壁)
- B. 庭の造成費(緑化・外構)
- C. (最重要)防水・防根工事費
この中で最も費用が変動し、かつ高額になるのが「A. 車庫本体」です。費用を決定づける最大の要因は、地面をどれだけ深く掘るか、そして土が崩れないように支える「擁壁(土留め壁)の高さ」と言われています。
【目安】擁壁の高さ別・車庫の費用相場(車1台分)
これはあくまで一般的な目安であり、状況によって大きく変動しますが、費用のイメージとして参考にしてください。
| 擁壁の高さ (m) | 費用相場 (万円) |
|---|---|
| ~1m | 100万~200万円 |
| 1〜3m | 300万~400万円 |
| 3〜5m | 500万~600万円 |
| 5〜8m | 700万~800万円 |
※上記はあくまで目安の費用です。敷地の地盤状況(軟弱地盤なら杭工事など)、掘削の難易度、シャッターの種類などによって費用は大きく変動します。
その他の費用変動要因
上記の基本費用以外にも、以下のような要因で費用は加算されていきます。
車庫の台数
当然ですが、2台分、3台分とスペースが広がれば、掘削面積、コンクリート量、鉄筋量、擁壁の範囲も増えるため、費用は高額になります。1台用(約100万~800万)に対し、2台用で約130万~830万円程度から、と費用もスライドしていきます。
地盤の状況と残土処分費
敷地の傾斜が急であったり、地盤が軟弱であったりすると、追加の補強工事や地盤改良が必要となり、費用が大きく増える可能性があります。また、掘削で出た大量の「残土」を処分する費用も、トラックの台数や運搬距離によって数十万円単位でかかるため、見積もりに含まれているか確認が必要です。
庭の造成費と防水工事費
これらに「B. 庭の造成費」が加わります。坪庭のような小規模なものでも総額50万円~、庭全体のリノベーションとなると100万円~300万円以上かかる場合もあります。内訳は、植栽費のほか、軽量土壌、排水パネル、灌水設備(自動で水をまく装置)、そして資材を屋上に運び上げるための「荷揚げ費」などです。
そして、総費用の中では比較的地味に見える「C. 防水工事費」。しかし、前述の通り、これはプロジェクトの成否を分ける心臓部です。ここで初期費用を節約すると、数年後に庭を全部剥がしてやり直す、という最悪の事態になりかねません。防水費用は「コスト」ではなく、将来の破綻を回避する「保険」と考えるのが、結果的に最も賢明かなと思います。
アスファルト防水が推奨される理由

防水工事には色々な工法がありますが、掘り込み車庫の上の庭のように「常に湿潤状態に置かれ」「一度施工したら(庭を撤去しない限り)やり直しが困難」という過酷な環境では、工法の選定が非常に重要です。
主な防水工法を比較してみましょう。
| 防水工法 | 費用相場 (円/㎡) | 耐用年数 (年) | 特徴と庭園への適性 |
|---|---|---|---|
| アスファルト防水 | 5,500~8,000 | 15~25 | 高コストだが、防水性能の信頼性と耐用年数が群を抜いて高い。屋上緑化(庭園)の防水層として最も推奨される工法の一つ。 |
| シート防水 (塩ビ) | 4,000~5,500 | 10~15 | アスファルト防水に次ぐ耐久性。シート同士の継ぎ目処理が重要。植物の根が継ぎ目を狙うため、防根シート併用が必須。 |
| ウレタン防水 | 3,000~7,000 | 10~12 | 液体を塗るため継ぎ目がなく複雑な形状に対応可能。比較的安価だが、職人の技術力と定期的なトップコート(保護塗装)の塗り替えが性能維持に不可欠。 |
| FRP防水 | 4,000~8,000 | 10~12 | 軽量で高強度、施工が早い。ただし、硬質であるため建物の揺れでひび割れやすく、重量物を載せる庭園には不向きな場合がある。 |
この中で、屋上緑化(庭園)において、最も信頼性が高いとされる工法の一つが「アスファルト防水」です。
アスファルト防水の強み
- 圧倒的な信頼性と耐久性: 昔からある工法ですが、それだけ長年の実績があり、防水性能の信頼性が群を抜いて高いと言われています。耐用年数も15年~25年と、他の工法(10年~15年程度)と比べて長いのが最大の特徴です。
- 屋上緑化への適性: 常に水にさらされる環境や、植物の根(防根シートは併用必須ですが)に対しても高い耐久性を持つ「改質アスファルトシート防水」などが開発されており、屋上緑化の防水層として最も推奨される工法の一つなんですね。
もちろん、他の工法より費用が高く、施工日数もかかり、施工時の匂いが強いといったデメリットはあります。ですが、「庭を造ってしまったら、その後20年は防水層を触れない(触りたくない)」という特殊な場所だからこそ、初期投資で最も信頼できる工法を選ぶ価値は十分にある、と私は思います。
防水工事のDIYは絶対に危険
「コスト削減のために、なんとか防水工事をDIYでできないか?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これは最も危険な選択であり、絶対に避けるべきだと私は思います。
蛇口のパッキン交換や、室内の壁紙貼りとは、リスクの次元が根本的に異なります。
DIYで「可能な」管理領域
DIYで許容されるのは、せいぜい表面の「トップコート」の塗り直し(防水層本体を守る保護塗装)や、高圧洗浄機での清掃(防水層を傷つけないよう注意が必要)といった、「維持管理」のレベルまでです。これらは既存の防水層が健全であることが前提です。
DIYが「絶対に不可能な」専門領域
一方で、以下のような作業は、専門の知識と技術、専用の道具が必要であり、DIYで行うべきではありません。
- コンクリートのひび割れ補修: 見た目以上の深刻な問題(漏水の始まり)である可能性が高く、適切な下地処理と補修材の選定・施工が必要です。
- 根本的な防水層の施工: 特に、液体を塗って膜を作る「ウレタン防水」などは、均一な厚さ(膜厚)を確保する職人の技術力によって性能が大きく左右されます。素人が塗ると、薄い部分ができてしまい、そこから水が侵入します。ましてや、シート防水やアスファルト防水(熱や火気も使う)は、専門業者でなければ施工自体が不可能です。
掘り込み車庫の上という「失敗が許されない」場所の基幹防水をDIYで行うのは、無謀としか言えません。
数万円のコスト削減のために、将来の「爆裂」や「法的賠償責任」、そして庭の全撤去と再施工にかかる「数百万円の修理費用」という巨大なリスクを自ら背負う行為であり、専門家として絶対に推奨できません。
リスク回避のウッドデッキという選択

ここまで読んで、「やっぱり掘り込み車庫の上の庭は、リスクが大きすぎるかも…」「維持管理が大変そう…」と不安になった方もいらっしゃるかもしれません。
もし、漏水や植物の根によるリスクを根本的に避けたいのであれば、土を一切入れない「ウッドデッキ」や「タイルテラス」は、非常に賢明で有効な選択肢です。「庭」という形に固執しないのであれば、これがベストな答えになる可能性もあります。
驚くことに、庭(土壌)が防水層にとって常にリスク要因(加害者)であるのに対し、ウッドデッキは防水層の「保護者」として機能する側面があります。
ウッドデッキが防水層を守る?
ウッドデッキ(特に腐食や色褪せに強い樹脂製デッキが人気です)やタイルを防水層の上に貼ることで、防水層が直射日光(紫外線)に直接当たらなくなります。紫外線はあらゆる防水層の劣化を促進する最大の要因なので、デッキ材がこれを遮ることで、防水層の劣化を抑え、寿命を延ばすという積極的なメリットが期待できるんです。
もちろん、植物の根による破壊リスクや、土砂による排水ドレンの詰まりといった、庭園特有の懸念も根本的に排除できます。
ウッドデッキの注意点
もちろん、デメリットもあります。ウッドデッキ(特に天然木)はそれ自体が経年劣化し、定期的な塗装やメンテナンスが必要です。樹脂製デッキも長持ちしますが、永久ではありません。また、ウッドデッキやタイル、そしてその上で活動する人や物の重量(集中荷重)に、車庫の屋根(スラブ)が構造的に耐えられるかどうかは、庭園とは別に、やはり構造計算で確認が必要です。
「緑が全くないのは寂しい」という場合は、ウッドデッキを主として、「プランターやコンテナで部分的に緑化を楽しむ」という組み合わせが、長期的な維持管理コストとリスクを最小限に抑える、最も現実的で安全な方法かもしれませんね。
安全を保つメンテナンスと清掃

たとえ完璧な設計と施工(例えばアスファルト防水)で庭を造ったとしても、その後の維持管理を怠れば、システムはいずれ破綻します。特に、このシステムは「水の流れ」が命です。
このシステムにおいて、最も重要で、最も頻繁に必要なメンテナンス。それは、「排水溝(ドレン)の清掃」です。
庭園から出る落ち葉、花びら、そして風で運ばれてくる土砂が排水溝やドレンを塞ぐと、どうなるか。
- 排水できなくなった雨水が土壌に溜まり、屋上全体が「プール」のようになります(湛水状態)。
- 土壌が常に水浸しになり、植物が根腐れを起こします。
- 水を含んだ土壌は非常に重くなり、スラブ(車庫の天井)に想定外の「過荷重」がかかり続けます。
- 水が溜まると、植物の根は水を求めて異常に伸長し、防根シートや防水層の弱点を執拗に探し始めます。
- そして、常に高い水圧がかかり続ける「防水層」は、根の攻撃と過荷重によって、ついに破損し、漏水に至ります。
この「連鎖的破綻」の最初の引き金が、たった一つの「ドレンの詰まり」なんです。
最低でも年に数回、落ち葉の季節(秋)や梅雨前には月1回程度、ドレン周りを点検・清掃する。この地道な管理を続けられるかどうかが、庭の寿命を決定づけると言ってもいい過ぎではないと思います。
定期的な防水層の点検
また、ウレタン防水などを採用した場合は、5年~10年ごとの「トップコート(保護塗装)」の塗り替えも、防水層本体を長持ちさせるために重要なメンテナンスになります。ウッドデッキにした場合も、数年に一度はデッキを一部めくって、下の防水層や排水溝の状態を目視で点検できるような設計にしておくと安心ですね。
掘り込み車庫の上の庭、成功の鍵
「掘り込み車庫の上の庭」は、都市部の限られた敷地を最大限に活用する、本当に魅力的なソリューションだと思います。
しかし、本レポート(記事)で繰り返し強調してきた通り、これは本質的に「造園」プロジェクトではなく、「建築工学(構造・防水)」プロジェクトである、という認識が何より重要ですね。
この夢の空間を実現し、数十年にわたり「後悔」することなく安全に楽しむためには、以下の「成功の3条件」が不可欠かなと思います。
成功のための3条件
- 信頼できる「設計」: 単にデザインが良いだけでなく、車庫スラブの厳密な「構造計算(耐荷重)」を行い、敷地条件と予算の中で最適な「防水工法」(例:アスファルト防水)を選定し、そして「防根」と「排水」を含めたシステム全体を工学的に設計できる、経験豊富な建築士を選定すること。
- 確実な「施工」: 設計図に基づき、アスファルト防水や防根シートの敷設といった、高度な専門技術を要する工事を、一切の手抜きなく(継ぎ目や端部処理など)確実に行える、信頼できる防水専門工事業者を選定すること。
- 施主による「維持管理」: 完成後、施主自身が「この庭は特別な管理が必要である」と強く認識し、特に「排水溝の清掃」と防水層の定期点検を、責任をもって実行し続ける覚悟を持つこと。
このプロジェクトにおける最大の成功の鍵は、庭の木々や花といった目に見える部分ではなく、土の下に隠れた「防水」と「防根」という目に見えない部分にこそ、最大の初期投資を行うという決断かもしれません。
あるいは、リスクを賢明に回避する「ウッドデッキ」という選択肢を併用・採用することも、専門的な観点から強く推奨される、非常に現実的で安全な方法ですね。
【重要】最終的な判断は専門家にご相談ください
この記事は、掘り込み車庫の上の庭に関する一般的な情報やリスクをまとめたものです。インターネット上の情報は、あくまで参考の一つに過ぎません。実際の費用、耐荷重、法的要件(固定資産税や登記)、必要な防水仕様などは、あなたの敷地の状況、地盤、地域の気候、そしてあなたが実現したいデザインによって全く異なります。
最終的な計画や施工にあたっては、必ず信頼できる建築士、専門の施工業者、あるいは必要に応じて土地家屋調査士や税理士といった専門家に現地調査を依頼し、あなたのケースに合わせた具体的なアドバイスのもとで判断するようにしてください。